■ C82新刊サンプル ■







 ――今にして思えば、あの時のあたしはどうかしていたと思う。


 三年生になったあたしは、それまで背負っていた看板の重さに気づいて喘ぐ羽目になってしまっていた。

「陸上部部長・赤音鈴歌」

 我が事ながら違和感がある事この上ないけど、部長になる事自体は去年の三年生引退の時点で決まっていたので織り込み済みの仕事のつもりだった。
 けれど、いざや進級した結果、待ちうけている現実はあたしの予想をはるかに上回る忙しさであったのだ。
 新入生への勧誘や対応。それに伴って先生との話し合いも自然に増える。もちろん、自分の練習だってしなければいけない。タスクばっかり積み重なって、使える時間は以前と変わらないのだから自然どこかにしわ寄せが来る。
 ぶっちゃけると、進級してからこの一カ月、絃斗と全然えっち出来ずにいた。
 万が一にも感づかれる訳にはいかないから、両親がいる時に家でなんて出来るわけもない。部活が忙しくてバイトも出来ないから、ホテルにいけるお金もあんまりない。更紗の家と言う選択肢もあるんだけど、そうなると、彼女も交えて三人でと言う展開になってしまう。
 ……いや、それはそれで嫌いじゃないけれど。でも、こうも間隔が空いてるとやっぱり二人だけで何にも考えずにただえっちし続けたいなー、なんて虫の良い事を思ってしまったのである。
 そんなわけでその日、マネージャーの洋美が「どうしても」と言うので用具室の鍵当番を変わってあげた日、私はとうとう行動に起こしてしまったのだ――


 入り口からも、窓からも死角になる棚の奥に絃斗を押し込んで、ズボンとパンツを膝まで引きずり下ろす。目の前でしっかりと勃起した絃斗のおちんちんに、あたしはもう一心不乱にむしゃぶりついていた。
「だから、ねーちゃんやばいって……!」
「んむ……んちゅ、あぅ、こ、こんなにがっちがちにして……説得力ないわよ……!」
 じたばたともがく絃斗だけど、先っぽを少し強めに吸ってやるとそれだけで腰砕けになってしまうのはお見通し。
 むわっとしたオスの匂いが、鼻から私の体を犯してくる。私の奥底の理性が、それだけでとろとろに溶けていく。これが他の男だったら想像するのも吐き気がしそうだけど、絃斗だからたまらなく、イイ。
「絃斗だってして欲しかったでしょ? ここを……こうして……」
「ふぁ、そこ……駄目……!」
 上目遣いで囁きながら、おちんちんの裏筋に舌を這わせる。女の子のような声を上げて体を奮わせる絃斗は、やっぱりとってもとっても可愛い。
 血の繋がった実の弟でも。
 血が繋がった実の弟だからこそ。
 女として誰よりも愛しいし、姉として誰よりも可愛がってあげたい。
 あたしのフェラチオで、絃斗が喜んでくれるのが嬉しい。その顔を見て、あたしももう我慢出来なくなってしまう。
 ショートパンツの中に手をいれて、ショーツの中に手を滑り込ませる。指先にはしっかりと湿った感触が伝わってきて、恥ずかしくて頬が熱い。
 本当は最後までシたいのだ。
 このおちんちんであたしのアソコをぐちゃぐちゃに掻き混ぜて、獣のように突きまくって欲しいのだ。
 だけど一応あたしだって学習はするのだ。前回ここでした時に、更紗に見つかって大変な事になった。一応服を着てさえおけば、もし誰か来ても色々ごまかしは効く筈だし。
 だから今日の所は、絃斗を受け止めるのはお口だけで我慢する。
 空いた左手で絃斗の腰を引き寄せて、口の中一杯になるまで飲み込む。ぎゅっと口元をすぼめて、そのままカリ首の辺りまで一気に引き抜く。じゅるじゅると、はしたない音をわざと大きく立てながら、可愛らしい絃斗に似合わない凶暴な欲望の塊を、心を込めて慰めてあげる。
 一心不乱に弟のおちんちんにご奉仕しながら、右手の方はもう全部の指がぐっしょりになるくらいにオナニーに耽ってる。絃斗にみせてあげられないのが残念だ。根元までお姉ちゃんの恥ずかしい汁でべたべたになっている指が、下着をどろどろに汚しながらおまんこの中に潜り込んでいる所を見せてあげたい。
「絃斗……気持ちイイ……?」
「いいよ……もう……出ちゃう……!」
 びくびくと、口の中でおちんちんが震えている。この瞬間が、一番好き。
 膨らんだ先っぽから、ものすごい勢いで絃斗の精液が吐き出されてくる。青臭いその匂いに一瞬むせちゃったけど、すぐにあたしは喉を鳴らして全部飲み込んでいく。
 すごい。すごい……!
 喉に絡みつくし、脳が焼けちゃいそうな凄い匂いは相変わらず。だけど絃斗が出してくれたものだから、全部受け止めてあげたい。
「んぐ……あふ、あぁ……ん!」
 口の端から少し溢れちゃったけど、それでもほとんど全部飲んであげる事が出来た。
 放心してる絃斗に向かって、にんまりと意地の悪い笑みを浮かべる。
「気持ち良かったでしょう? おねーちゃんのお口にこんなに一杯出して」
「うん……その、すっごい……」
「じゃあ感謝の気持ちでキスしてくれても良いんじゃない?」
 流石にたった今全力で吐き出した精液塗れの唇に出来るわけないんだけどね。だけどあたしの無理難題に困った顔をする絃斗が好きだから、今日も意地悪をしてしまう。
 なのに、絃斗はすぐに膝をついて、あたしの肩に手を掛けると。
「え……?」
 キスされた。
 軽い挨拶じゃなくて、しっかりと、舌まではいってくるキス。
 絃斗の舌があたしの舌を探して右往左往してる。驚きに一瞬固まってしまったけど、すぐにあたしは応えて、互いに絡ませあう。くちゅくちゅと、湿った音が用具室の中に響いてる。
「ん……!」
 唇を放した絃斗が、真剣な顔で見つめてくる。
「馬鹿にするなよ。ねーちゃん相手なら、いくらだって、いつだってキス出来るよ」
 可愛い顔を引き締めて、あたしの目を見て、きっぱりと言ってくれる。
 あ、やばい。
 あたしイっちゃいそう。
 アソコにおちんちん挿入れてもらうより、こっちの方がぐらっときちゃう。
「絃斗……!」
 しがみついて、またキスをした。
 ずっと堪ってた、堪りまくってた満たされない気持ちが、今は溢れそうなくらいになってる。
 うん、やっぱりあたしは絃斗が大好きだ。
 絃斗以外、何にもいらないんだ――


 ――あのまま何事もなく終わっていれば、本当に綺麗な話で締められたと思う。
 だけど現実は非情である。
 今、あたしの目の前には一人の女の子が立っている。二本お下げで小柄な、小猫を思わせる女の子。
 渚洋美。我が陸上部の敏腕マネージャーで、あたしの友達なんだけど。
 部活が終わって呼び止められて、付いていった人気のない校舎裏で、突きつけられたのは爆弾だったというわけだった。
「まーさーか。我が学校きっての天才ランナーが弟さんとあんな事してるなんて、思わなかったなぁ」
 ニコニコと、おひさまのような笑顔を浮かべている彼女の手には、ハンディカムが握られていた。
 その画面には、あたしと絃斗の用具室での行いが、しっかりとビデオ撮影で映されている。
 ああ、うん。あたしってばものすごいエロい顔してむしゃぶりついてるなぁ。客観的に見たくなかったなあ、こんなの。
「ていうかあんたこんなの一体どうやって……」
「どうやってって、用具室に仕掛けておいたらしっかり映ってただけだよ?」
「ど、どうしてそんな事してるのよ!?」
「どうしてって、そりゃー、ねえ?」
 洋美があたしに向かって顔を寄せてくる。普段だったら可愛いと思えるその悪戯っぽい笑顔が、今はどう見ても悪魔の笑顔にしか見えなかった。
「鈴歌ぁ? あんたが弟クン見る目って、もうガチだったもん?」
「そ、そんなわけ……」
「最近忙しそうだったし、少し状況を用意しておけばと思ってたら、案の定よね。鈴歌ってば本当たまってたんだね?」
 バレバレだったご様子でした。どんだけ盛ってたのよ、あたしってば。
 色々と覚悟を決めなければいけないみたい、だけど。でも、どうしてもわからない事が。
「……んで? 口止めとかユスるとかそういう手段されちゃうのかしら? でもあんた知ってるでしょうけど、あたしお金とか大して持ってないんだから、そういう旨みはないんじゃない?」
「あー、うん。そっち方面の期待は最初からしてないから。これが悪いオトコノコだったら、鈴歌の体を使って作らせるとかそういう手段も思いつくんだろうけど」
「はぅっ!」
 洋美の手が、制服の上からあたしのおっぱいを揉みしだいてくる。
 その手つきに、何だか覚えのある感じがする。悪戯ではなく、ちゃんと目的のあるやり方。
 あたしがよく絃斗や更紗にされる揉まれ方だった。
「洋美、あんた……!」
 振り払おうとした手を掴まれて、口をふさがれた。
 甘く柔らかい、女の子特有の唇の感触が、あたしの唇をふさいでる。
 キスをされている。洋美に、真剣に。
「んふ。嫌じゃないでしょ? 更紗さんとはしょっちゅうしてた筈じゃない」
 顔を離した洋美の目が、とろんと潤んでいる。
「な、あ……あんた、何を言って!」
 更紗の名前まで出てくるなんて思わなかった。洋美ってば、いったい何時からどれだけあたしの事を観察していたって言うの。
 でもあたしの言葉に構わず、彼女は体を摺り寄せてくる。
「でもまさか弟さんとセックスしちゃうとか。本当、鈴歌がド変態さんで、安心したなぁ」
「ちょ……、洋美、何を……!」
 彼女の右手が、スカートを捲り上げて滑り込んでくる。
「あぅ……っ! こ、んな……」
「ちょっと湿っぽいよ? キスで少し興奮しちゃった?」
 ショーツの上から、じらすようにあたしの股間をなぞり上げ、煽り立てるように囁いてくる。その手つきは完全に慣れた物だった。
「ずっと、ずっと狙ってたんだよ? あなたの事。だから今回、そのチャンスをしっかり使わせてもらうね?」
 …………えーっと。
 つまりは。
「洋美、あんたも、その、そういう趣味……?」
「ええ。楽しみだなぁ、これから」
「あは。ははは……」
 あたしの口からは、乾いた笑いしか出てこなかった。
 本当に、本当に、どうしてあたしはあの時我慢できなかったのか。
 この先に待ち受けているだろう厄介な展開に、どうした物かいい知恵はさっぱり思い浮かんでこなかった。







 洋美の罠に引っかかってから、あっという間に一週間ほど過ぎている。
 幸いにもというべきなのか何なのか、その間に彼女から派手に何かを求められたという事はない。せいぜいが「あんまり絃斗君や更紗さんとといちゃついたりしちゃだめだよ?」と釘を刺された事くらい。
 ……いえまあ、正直それが一番辛いんだけど。
 要するに、バラすな頼るな相談するなと釘を刺されたわけだし。
 だから、自然とこの一週間、絃斗や更紗とは一枚壁を隔てた対応をする羽目になっている。代わりにその隙間に今は洋美が入り込んでいる、という次第だった。
 その彼女はといえば、あの一件以降はとりあえずおとなしい物であった。
 トイレに連れ込まれたり、人気のない場所を見つけてはキスをされたりおっぱいいじられたりはしているけれど、でも、それ以上の事はしてこない。
 正直、その日の内にホテル連れ込まれるくらいの覚悟はしていたのだけれど。
 この調子なら、思ったよりはひどい事をされないんじゃないか。
 ……ええまあ。そんな事を思っていた時期があたしにもありました。
 昨日の夜、彼女から届いたメールはデートのお誘い。日曜日だし、部活はクールダウンのオフ日だったのでそれ自体は問題がない。と言うかマネージャーでもある洋美自身がそれを分かっていたから誘ってきたのだろう。
 もちろんあたしに拒否権なんかない。否応もなく、お誘い自体は受けるしかなかったんだけど。なかったんだけど。
『可愛い、女の子らしいスカート姿で来てね? もちろん下着つけてきちゃだめだよ?』
「もちろんって何じゃそりゃーっ!?」
 自室でそのメールを見た瞬間、あたしは叫んだ。
 そりゃあ叫ぶわよ!
 意味がわからないんだけど! いったい何時からスカートの時ノーパンで行動する事が日本の常識になったのか! 
 しかし、今のあたしに彼女に逆らう術はない。
 彼女の抱えている爆弾はあまりにも大きすぎる。あたしに向けてそれが爆発するのはいい。陸上も、学校も諦める事になるだろうけど、それはあたしの迂闊さの招いた事なのだから。
 だけど爆風は絃斗まで巻き込んでしまう。それは困る。姉として、あいつにはあたしとの事以外はまっとうに歩んでもらいたい。そこが一番ダメなのは自覚があるんだけど、とにかく、絃斗に迷惑がかかるのはまずい。
 ――かくして。
 あたしはプリーツの入った短めのスカートにフリルのついたブラウスという何ともらしくない事この上ない格好をさせられて、駅前で洋美を待ち続けているのである。
 のーぶらで。のーぱんで。
「……帰りたい」
 目に見えるんじゃないかと思うくらい、重いため息が口から零れ落ちる。
 シャツに擦れまくってぷっくり勃ち上がってる乳首が外からでもわかっちゃうんじゃないかと気が気じゃないし。何よりも、だ。
「ひゃ……っ!」
 風が吹き付けて来る度に、あたしは必死でスカートの裾を押さえつける。
 休日だから、駅前には本当に沢山の人がいるのだ。
 そよ風一つにこれほどまでに恐怖する状況とか、生まれて初めてだった。
「……もうあたし、今この場で死んでもいいかな……」
 心の底からそう思ったが、もし万が一あたしがこのまま死んだら、ぱんつはいてない女子高生の死体が衆目に晒される事になるわけだったりする。
 ……絃斗も両親も生きていけなくなるわよね、それって。
 結局あたしとしては、すーすーしまくる股間の感触におびえながら、洋美を待ち続けるより他ない。
「それにしても、遅いわね……」
 呟いたあたしの肩が、ぽんぽん、と叩かれる。
「お待たせ、鈴歌」
 振り返ったあたしは、思わず感嘆の声が出そうになった。
 制服やジャージ姿しかほとんど見た事がない洋美の私服姿は、悔しいけれどとびっきり可愛いものだった。更紗の場合はカッコいいとか妖艶とかそういう言葉がつくんだけど、小柄な洋美が白を貴重としたロリータ系の服装をしているのは新鮮で、そして目を奪われる魅力を出している。
 あたしを脅して、のーぱんとか酷い事させている相手なのに、思わず魅入ってしまった。
「うれしいな! 鈴歌がそんなに見つめてくれるんなら、この服装大成功って事だよね?」
「……ええ、まあ。それは否定しないけど」
 素直に似合っているとは言いたくないからそっけなく呟いたけど今更過ぎる。洋美は満足そうに笑って、あたしの手を取った。
「さ、行こうか♪」




「それでどうして最初がここなのよっ!?」
 あたしの叫びが殊の外よく響く場所だった。
 それはそうだろう。駅前のショッピングモールの多目的トイレの中である。
 手を引かれて、連れてこられたのがいきなりトイレの中とか、意味がわからないんだけど。
「ちょっと洋美、あんた一体何を考えてるのよ!?」
 あたしの文句にも、洋美の態度はもちろん変化なし。ポーチの中をごそごそと漁っている。
「じゃーん! 可愛いでしょ?」
 にまにまと笑いながら、彼女が取りだしたのはピンク色した親指ほどの楕円系のプラスチックケース。非常に見覚えのある代物だった。おもに更紗の家で。
「ローターとか取り出して、一体何のつもりよあんた……」
「何のつもりもなにも、そういうつもりだけど? さあ、早く準備してちょうだい、鈴歌」
「準備って……」
「スカートめくり上げて。今からこれを付けてあげるから。下着も付けずにこんな所まで歩いてきた、変態さんのアソコにね」
 彼女の言葉に、一気にあたしの顔が熱くなる。
 したくてそんな恰好しているわけじゃないのに! そう叫んでここから飛び出して、逃げ出せればどれだけ楽か。
 それが出来ないから、あたしはこんな変態チックな恰好で、洋美の前に立っている。
 彼女にあの映像を握られている限り、あたしは言う事を聞く他ない。
 ぎゅっと唇をかみしめて、恥ずかしさをこらえながら、あたしはそろりそろりとスカートの裾をめくり上げていく。お臍のあたりまで、何も身に付けていない下半身が洋美の目に晒されていく。
「綺麗だね、鈴歌。肌もすべすべだし」
「ひぅ……!」
 洋美の手が、容赦なくあたしの体を這いまわる。太股を撫でまわし、そしてその指が付け根に伸びてくる。
「ふぅん。結構毛深いんだね、鈴歌って。でも手入れはされてる感じ。自分でしてるの? それとも、弟さんにしてもらってるの?」
「このっ……」
 死にそう。
 恥ずかしくて死にそうなんだけどっ!
 絃斗も更紗も生えてる方が好きだっていうから、割とソコが濃いあたしとしては安心だったんだけど、だからって他の人にそんな事言われて恥ずかしくないわけがない。
 そんなあたしの葛藤などお見通しという感じで、洋美の指が陰毛を掻き分けて、そしてその下へと潜り込んでくる。


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(イラスト:エンジェルダスト)



「あらあら。もう濡れてるじゃない。ノーパンで歩いて興奮するなんて、鈴歌って変態過ぎて軽蔑したくなっちゃう」
「……っ! そんな女のアソコいじって喜んでるあなたはどうなのよっ!」
「変態だよ? 当り前じゃない」
 あっさり言いきった洋美が、あたしの背中に左手を回してくる。そのままつま先立ちで背を伸ばし、あたしの唇が彼女の唇でふさがれてしまった。
 洋美の舌があたしの唇を割り、滑り込んでくる。それと同時に指も、あたしのアソコの中にこじ入ってくる。
 それも一気に二本も、根元まで!
「んーっ!」
「こんなにすんなり入っちゃうんだもの。開発されてるわねぇ」
 キスの合間に囁かれる。ばらばらに動かされる彼女の指に、あたしの膣内がこじ開けられていく。
 絃斗のおちんちんとは違う。細くて、長さも短い。更紗の慣れた指使いとも違う。こんな事してるくせにあたしを気遣っているのか。指の使い方はソフトで、痛みなんかないけれど。でも無理やりされている違和感に身もだえしてしまう。
「んふ。これなら簡単に入れられそう。安心した」
 そう言って、洋美が指を引き抜いた。てらてらと、あたしの恥ずかしい汁で濡れた指を目の前に翳してくる。
「感じてくれたんだ? それとも、鈴歌ってば入れられると何でも感じちゃうのかな?」
「知らないわよ、そんなの……!」
「じゃ、これで一杯気持ち良くなってね?」
 洋美の手には、先ほど取り出してみせたローターが。
 蕩けきったあたしのアソコに、そのままあっさりと入れられてしまった。本体から伸びたコードに繋がった受信機部分は、あたしの太股にリボンで縛りつけられる。
「くぅ……ん!」
 違和感が、すごい。もっと大きいバイブとか突っ込まれた事はあるけど、やっぱりあたしはこういう作り物は好きじゃない。
 だけど、これで終わりじゃないんだよね。
「じゃ、試運転ね」
「は、ぁ……あふっ!」
 敏感なトコロを裏側から刺激されて、思わず背中をすくめてしまう。
 気持ちいいのとは、少し違う。違和感との間を行ったり来たり。
 絃斗のおちんちんのように、あたしの中を全部埋め尽くして温めてくれるわけじゃない。味気ないオモチャなのに、あたしのツボを知り尽くして攻め立ててくる更紗とも違う。
 もう片方の彼女の手には、ローターのスイッチが握られている。その指が、嘗め回すようにスイッチをオンにする。
「ひ……っ!」
 あたしの中で、ローターが震えだす。鈍い、痺れるような感覚がお腹の内側から私を叩いてくる。
「ねえ、どんな感じ? ねえねえどんな感じ?」
「どんな、感じも何も……あふっ!」
 一段刺激が跳ね上がり、背筋が反り返ってしまう。
 膝が震えて立っているのがつらい。嫌なのに、あたしは洋美にしがみついてしまう。
「うんうん。効いてるみたいで何より。強力なやつ買ってきたからねー」
「この、洋美、止めて……!」
 どうせ聞いてくれるわけがないのに、震える声でお願いしてしまう。
 だって、こんなの、歩けない。
 しかしあっさりと、それでローターの動きが止まった。
「あ……?」
「うん? だって、まだ終わりじゃないし」
 そう言って洋美は、バッグの中からもう一セットローターと、そしてテープを取り出した。
「ちょ……ちょっと、もう一つとか入れる気……?」
「中に入れるだけじゃさびしいでしょ?」
 そう言って屈みこんだ洋美は、そのローターをあたしのクリトリスにあてがう。
「ッて、そんなの無理、ダメ、やめてよ洋美……!」
「嫌がるって事は、して欲しいってことでしょう?」
 洋美はあたしのお願いなど聞く様子もなく、ローターをよりにもよって一番敏感なソノ部分に当てて、テープで止めてしまった。
「今日はデートなんだから、沢山、沢山鈴歌の事ヨロコバセテあげるわ」
 そう言って、もう一つのリモコンのスイッチを入れる。
「ひぐっ!?」
 とたん、背骨に沿って突き抜けるような刺激に、堪え切れない悲鳴を漏らしてしまう。
 足が震えてしまい、ふらついたあたしはそのまま洋美にしがみつく。
 無理、こんなの付けたまま、なんて、とても普通にしてなんていられない……!
「ほら、早く早く服装整えて、ね?」
 だけど、あたしの様子を本当に楽しそうに見つめて、洋美は顔を寄せて軽くついばむ様なキスをしてくる。
 あー。
 きっと獲物と契約を済ませた悪魔って、こんな笑顔を浮かべているんだろうなぁ。
 鉛のようなため息をつきながら、あたしはいそいそと服装を整えるしかなかったのだった。







【続きは新刊「あざーサイド:マイしすたー 〜類がキケンな友を呼ぶ〜」にてお楽しみください】


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