優しいキスより激しく抱いてキスをして



ユウヒツ




 グラスの中で丸い氷が揺れる。カランと音を奏でる。琥珀色の液体を並々と注がれる。常温の液体に浮ぶ氷。ピシリとひび割れる。水で薄めたりはしない。生のまま注がれる。コップのふちに溢れかえりそう。そのまま飲み干していく。小さく赤い唇に寄せて一気に飲み干す。飲んだ後の吐く息に酒精が帯びる。熱い吐息が漏れていく。
 もう一杯注ぐ。一気に飲み干す。味わってなどいない。高く希少な酒が無造作に飲み干される。
 軽く息をついて三杯目。手酌で注がれる。くいっとコップが傾けられる。こくこくと飲み干していく。形の良い顎が上を仰ぎ見る。首筋が露わになる。コクコクと咽喉が鳴る。琥珀色の酒の一筋が唇から漏れていく。つぅーと白い肌に伝わり落ちていく。口から首へ、そのまま白いブラウスに包まれた胸元へ降りていく。拭き取ろうとしない。少し頭を振ってコップを下ろす。
飲み干したら四杯目を注ぐ。乱暴に。高貴な香りも深い味わいも関係ない。水で薄めたりせずに飲む。酔うために飲む。だけど、いくら飲んでも顔色は変わらない。息は熱い。吐く息の酒精はますます強まる。しかし、それでもしっかりとした動作で飲み干して注ぐ。酔いとは無縁の体なのか。
 四杯目も飲み干した。さすがに少しは回ってきたのか。目がとろんとしてくる。息を吐くたびに胸が大きく膨らんで動く。乱暴に飲んだため幾筋も酒がこぼれている。自然にブラウスの上のボタンをひとつ、ふたつ外していく。ポケットのハンカチで拭う。胸元を少し広げて拭う。白い胸元が少し露わになる。大きく隆起こそしてないが、ほんのりと朱に染まり妖艶な雰囲気を漂わせる。髪も少し乱れている。いく筋もの黒い髪が額にかかる。乱暴に払い、熱いため息を吐いた。
 五杯目を注ごうとしたところで声をかけられる。
「なあ、秋葉。少し飲みすぎてないか?」
 志貴だ。少しだけうんざりした様子で秋葉を眺めている。軽いため息を吐いて、志貴はコップの中身を軽くすする。正面からは秋葉のほうを見ようとしない。ちらりちらりと眺めては目をそらす。それが不満。
 秋葉は切れ長の目でじろりじろりと志貴を見つめながら酒を飲み干した。五杯目。

 いつもの夜。普段は琥珀と翡翠を交えてのお茶会が開かれる。なのに今日は違う。夕食時、秋葉は「今日は兄さんと二人きりで話があります」そう宣言した。細かい指示を琥珀に出した後、ずっと黙っていた。
 居間のテーブルには大量のお酒しかない。つまみ一つもない。酒はあまり飲めない志貴はミネナルウォーターにライムを搾り、岩塩を1摘み入れたもので咽喉を潤していた。
 五杯目も黙ったまま酒を飲み干した。手酌でただ乱暴に飲み干した。向こうからじろりと睨まれた。
「──それで、話というのはなんなんだ」
 少し口調を強めて志貴は言った。秋葉はじろりと志貴を睨んだ後トンと軽い音を立ててガラステーブルにコップを置く。そして、
「兄さんはアルクェイドさんが好きなのですか?」
 と、問い掛けた。

 志貴は遠野の屋敷に帰った後、ある騒動に巻き込まれた。町を騒がす殺人鬼。全身の血を抜かれる死体。隣町で起きたホテルの惨劇。消えたクラスメイト。色々あって、それを志貴が解決した。全身がぼろぼろになりながらも解決した。その後には白い吸血姫が心を占めていた。

「なっ──」
 言葉に詰まる。前置きも無しの直球勝負。じろりと睨まれる。
「答えてください。兄さん!」
 さらに語調を強めて問い掛ける。志貴は軽く息を飲み、
「ああ、そうだよ」
 静かに告げた。
「どうしてですか。あれは吸血鬼なのですよ。人ではないのですよ。どうしてですか?」
 先ほどの空気を切り裂くような絶叫。あれだけ酒を飲んでもほとんど変わらない肌の色が赤くなっていく。強く叩きつけるように言葉を紡ぎだす。 ぎゅっと拳を握り締める。
「関係ないよ。俺にとってあいつがなんであろうと関係ない。アルクェイドが──好きなんだ。あいつだから大切なんだ」
 静かに木霊する志貴の言葉。淡々としていた。だから響いた。残酷すぎる本音が。
「私──よりもですか?」
 一転して弱々しい声になる。泣きそうなほどか細く問い掛ける。
「それは違うよ。秋葉は大切だ。家族として、妹としては秋葉を一番大切に思っている」
 慌てて志貴は言った。目を見開いて秋葉を見つめている。けど、志貴の言葉にふるふると首を振る。目に涙がにじみ出る。
「──家族としてですか? ……妹としてですか? 私はそれが不満です! 私はそれが嫌です!」
 熱く潤んだ声だった。今までテーブル越しに語り合っていた。しかし、立ち上がるとガラステーブルを横切り秋葉は志貴ににじり寄る。
「ねえ、兄さん。私は弱い女です。酒の力を借りなければこんな事が言えないのですから」
 一息ついて、じっと見つめる。軽く長い髪を手櫛で振り払う。ふわりと髪が舞う。ゆっくりと近付き志貴の隣に座る。静かに顔を向ける。熱く潤んだ目を向けて告白する。
「私は兄さんが好きです」
 志貴は大きく息を飲んだ。秋葉は見つめる。志貴も見つめる。互いの顔を。
「家族としてでなく。兄としてではなく。男として好きです。一人の女として兄さんを愛してます。──本当は兄さんと呼びたくありません。志貴と呼びたいのです。呼ばせてくれませんか?」
 嘆願だった。心からの願いだった。兄を男として意識し始めてからの想いだった。
「──ゴメン。秋葉」
 秋葉の想いを息を止めて受け止めた。二回ほど目をまばたきする。その後強く目を閉じて顔をそらし──搾り出すように告げた。
「なぜですか? 前にも伝えたように私と兄さんは血が繋がっていないのです。何の問題も──」
 放心する。頭が白くなる。たった一つの希望が壊される。目元が熱くなる。一筋の涙がこぼれ落ちていく。ポタポタと床を濡らす。筋となって顔を伝い首を伝い胸元に滑り落ちていく。ガラガラと自分が崩れていく気がした。
「ゴメン。秋葉」
 顔を背けたままもう一度言った。カっとなる。
「謝らないで下さい。惨めになります。どうしてですか? いいえ、納得できません。確かに八年間別れ別れになってました。もしかしたら兄さんに恋人が出来てるかもしれないという覚悟もしてました。学校の同級生、先輩。近所のお姉さん。けど、そうではなくアルクェイドさんなのですよね。どうしてです。一緒に幼い頃遊んだ翡翠や別れる時にリボンを渡した琥珀なら納得はします。思い出がありますから。けど、アルクェイドさんは──アルクェイドさんは──ほんのの少し前に兄さんと…………出会ったばかりなんでしょうに────それなのに──なんで」
 最後は泣き出してしまった。激しい吐露を吐き出して秋葉は泣き崩れていく。床に崩れて座り手で顔を覆い泣く。肩に手をかけられるがイヤイヤと振って拒絶する。
「ゴメン、秋葉。お前の気持ちはよく分かる。けど、そうじゃないんだ。時間とかそういうのは関係ない。俺は出会ってしまった。アルクェイドに。だからなんだ。もし違う出会いがあればお前に惹かれたかもしれない。他の誰かを選んだかもしれない。けど、俺はアルクェイドに出会い選んだ。ちっぽけな俺は他の誰かも支えることなんて出来やしない。秋葉も家族として、妹としてならお前を支えられる。でも、女としてはどうしても支える事が出来ない。見る事なんて────出来ない」
 志貴は秋葉の肩を抱き、優しく言葉をかけていく。ああ、志貴は分かっている。遠野家当主として強く見える。気高くまっすぐに見える。けど、本質は変わらない。泣きそうな顔で志貴の後ろをトコトコと付いて来たあの頃。まったく変わらない。秋葉は答えない。嗚咽だけを漏らす。
「……分かりました」
 不意に泣き声は止んだ。ポツリと呟く。顔は黒く長い髪に覆われて見えない。静かに静かに告げた。
「ならば、一つだけお願いがあります。今夜だけ。ほんのひと時だけでいいのです。私を女として扱ってください。もうこれから我侭は言いませんから。今宵だけでもお情けを頂きたいのです」
 髪を振り払って志貴を見つめる。熱いまなざしを向ける。涙を振り払いそれでもまっすぐに見つめて伝えた。心を振り絞って願いを伝えた。
「兄さん。いえ、志貴。私を──私を抱いてくれませんか?」
 驚いた顔をしていた。「なっ、そんな、妹であるお前を──」と少し小声で言いかける。しかし、真剣な秋葉の顔に志貴は黙り込む。互いに見つめ合う。じっと。

 沈黙が続く。秋葉の懇願に志貴の表情は揺れる。見つめられる。握り締めていた肩に少し力が篭もった。痛いほど。けど、感じる。愛する兄さん──志貴を感じた。ああ、音が聞こえる。自分の鼓動の音。志貴の鼓動の音。互いに早鐘のように鳴り響いている。風も聞こえる。静かにそよぐ風。星は瞬いている。静かな夜。こんな日に抱かれたい。思い出を頂きたい。ぎゅっと手を握り締めた。覚悟はしている。熱く激しく抱いて欲しい。キスをして欲しい。例えこれで最後になろうと────
「……いやっ、やっぱりお前を抱く事が出来ない────」
 打ち破られた沈黙は苦渋の顔で訪れた。 志貴は顔をさらに背けて肩から手を離す。離れていく。志貴は一歩、二歩と秋葉から離れた。それが永遠の距離の溝に見えた。深い断絶を感じた。
「どうしてですの?」
 その顔は無表情に近い。心が冷えていった。体が冷えていった。しかし、奥が熱い。激しく燃えている。頭が熱くなっている。冷えていく心と裏腹に力が篭もる。己の禁忌の力。鬼の力。抑えようとしたい。開放しようとしたい。ああ、本当に欲しければどうすればいいのだろうか?
 志貴は大きく息を吐いた。軽く頭を掻いた。目をそらしたまま口を開いた。
「──告白するよ秋葉。あの時。あの時、お前と久しぶりに会ったとき、本当に綺麗になったと思った。息が止まった。本気で女として惹かれたよ。ああ、今でもそうだよ。お前を抱きたい! 無茶苦茶にしたい! そんな汚く嫌な想いが心に渦巻いている。本音は妹として考えなければ正気を保てない。家族として考えなければいけない。実はこうやってそばにいるだけで理性を保ちつづけるのは本気で難しいよ」
 志貴の声に軽さが感じる。少しおどけたような口調だった。しかし、よく見ると手は震えている。目の奥には秋葉を女として見つめている何かがある。ケモノの目。少しだけ怖い。息も荒い。ギリっと歯をかみ締めた音が聞こえる。戦っているのだろう。欲望と理性が。渇望している。無理矢理押さえ込んでいる。視線を下に逸らすと股間が膨らんでいるような気がした。大きく肩も上下している。
「でしたら──」
 甲高く秋葉が言いかける。喜びを感じた。志貴の様子を感じて胸が熱くなった。期待が膨らむ。胸の先が固くなるのを感じる。ほおが紅潮するのを感じる。下が熱い。ぬるりとしたものを感じた。志貴を男として思った。声を口にしながら自分を何度も慰めた。想像だけの男。兄さんとしてでなく男として大きく志貴を感じた。
「けど、それはだめだ。秋葉の事が好きだからかどうかが分からないから。女として感じてるだけかもしれないから。男というのは情けないことにどうしても好き嫌いの感情を通り越して‘欲しい’という欲望が出てくるんだ。そして今の思いを抱いたまま秋葉を抱いたら深みに嵌る。絶対に! 一度だけで済まなくなる。それはアルクェイドも。お前も。俺も、全員をも傷つける事になる。だから──だから、どうしても抱く事が出来ない。ゴメン」
 志貴はきっぱりと拒絶した。頭を下げる。

「──それでいいのですか?」
 しばしの沈黙の後、秋葉は言った。えっ? とした顔で志貴は顔を上げる。酒の匂いのする熱い息を感じる。女の匂いが目の前から感じる。にじり寄ってきた。秋葉は艶然と笑いながら志貴ににじり寄る。
「こんなに股間を膨らませておいて我慢できるのですかと聞いているのです」
 秋葉の白魚のような細く長い指が這い始めた。志貴の股間を撫であげる。ズボンの上から触り始める。
「あ……秋葉、やめ……ないか」
 志貴は腰を引いて逃げようとする。固くそそり立つ肉棒。服の上からとはいえ触られるたびに波が押し寄せる。快楽の波が。打ち砕かれようとしている。理性の防波堤が。
「ふふふ。兄さん。こんなに固くしていては説得力がありませんよ。ほら、いいのですよ。私は兄さんに抱かれたいと想っています。アルクェイドさんの事とかは関係ないです。兄さんが誰を一番好きでも関係ないです。ただ、抱かれたいだけです。抱いてください。兄さん」
 志貴の耳元で囁かれる秋葉の言葉。くらくらする。秋葉の吐く酒精の息に酔いそうになる。秋葉の体から漂う女の匂いに酔いそうになる。
 突き飛ばさなければいけない。離れなければいけない。なのに体は動かない。また、息を吹きかけられた。股間に這う手はいまだに蠢いている。軽く握り締められてこねられる。先端を搾り出すようにこねていく。止まらない。手は止まらない。
「だから……秋葉。──やめないか」
 息を搾り出すように志貴は力弱く拒絶する。秋葉は艶然と微笑んでいる。
「まだ、理性が邪魔をしてるようですね」
 そう呟くと秋葉は酒瓶に手を伸ばした。琥珀色の液体がビンの中で波立つ。
 蓋を開けるとラッパのみする。また、形のよい口から酒が一筋こぼれ落ちていく。

 キスをした。

 秋葉は志貴にキスをする。拒もうとする口をこじ開けて酒を流し込む。コクリコクリと志貴は酒を飲んでいく。

 酔っていく。志貴は酔っていく。酒を流し込まれて。秋葉の牝の匂いに酔っていく。

 酔っていく。秋葉は酔っていく。酒を飲んでキスをして。志貴の牡の匂いに酔っていく。

 互いに酔う。牡とメスの匂いが混じる。酒が体内をめぐるめぐる。クラクラと酔っていく。落ちていく。

 さすられつづける股間。熱い舌。密着してくる柔らかい秋葉の肢体。ほのかに漂う女の匂い。もう限界だった。酒を飲んで熱くなる。秋葉を感じて熱くなる。

 タガが外れた。

「秋葉!」
 志貴は強く秋葉を抱きしめた。自分からキスをして舌を動かす。一度、顔が離れて、
「──もう、限界だからな。──もう、我慢できないからな」
 ケモノの目で告げた。秋葉はにっこり微笑むともう一度キスをした。二人はソファーに倒れこんだ。酒の匂いが部屋に充満する。牡と牝の匂いが部屋に充満していく。

 キスをしながら秋葉の手は止まらない。志貴の股間をさすりつづける。さらに固くなっていく。さらに熱くなっていく。さらに大きくなっていく。
 志貴の手も動く。ゆっくりと這い上がり、秋葉の胸に手をやる。一瞬、秋葉は身を強ばらせる。撫でまわす。始めは優しく。だんだん強く揉んでいく。服の上から揉んでいく。
「……あっ、にい……さん」
 秋葉は少しうめいた。
「うん。アルクェイドに比べると少し小さいかな」
 志貴が少しだけ笑いながらいうと「知りません」と秋葉は顔を背ける。
「だけど、感度は同じくらいかな」
 言うと同時に尖りきった乳首を見つけて服の上から捻る。「ああっ」と秋葉は大きくうめく。嬌声の響きが篭もる。
「……服が──しわになります……あんっ」
 胸の中心を洋服ごと捻られて秋葉は身をよじる。志貴は柔らかいふくらみの中の固い尖りを捻りつづけ、
「そうか、なら、脱がさないとな」
 ブラウスのボタンを外し始めた。全て外すとブラのホックも手際よく外す。「どこで外し方を覚えたのです? 兄さん」
 秋葉の胸はアルクェイドに比べると薄いふくらみ。だから、いっそう乳首の尖りが際だって見える。指の爪で弾く。指の腹でぐりぐり押し込む。摘んで捻ったり、引っ張ったりする。軽いデコピンもしたりする。そのたびに秋葉は「あっ、あん、ああぁ。あぁー」と嬌声を上げて身を捩じらせる。だけど、逃がしたりはしない。志貴は秋葉の肩をしっかり支え、胸を弄りまわす。志貴の指から逃れようとしても逃れられず秋葉は身を震わせる。
「本当に感度はいいなー」
 志貴の言葉にじと目で秋葉は睨むと、
「兄さんのここもますます大きくなってますよ」
 志貴のズボンのチャックを下ろし始めた。指を入れて志貴の熱く太く固くなった物を外気に晒す。始めてみる男の分身。少しだけ息を飲む。
「──大きいですね」
 ため息をはいた。
「どうするんだい?」
 志貴の顔が赤く上気している。期待を込めて見ている。秋葉は少しだけ微笑むとしゃがんで舐め始めた。
 志貴の分身に小さく赤い唇を寄せる。少しこわごわと口に含む。志貴は軽く「うっ」とうめく。弾みがついたのか奥まで口に含む。少し塩辛い。肉の感触が口の中に広がる。上下に頭を動かす。舌で亀頭を舐めまわす。歯を立てないように噛む。だんだん口の中に唾液が溜まり出す。ずぽずぽと音がする。
「すごい。……気持ちいいよ」
 志貴はかすれる声で言った。上目遣いで秋葉は志貴を見る。ちょっとだけ歯を立てる。軽く食い込ませる。さらに志貴はうめく。舌の先で尿道口を突く。円を描くように舐めまわす。志貴の肉棒はぬらぬらと秋葉の唾液で濡れている。先端から先走り液が漏れ始めている。秋葉の口の中に唾液以外のものが舌に感じる。舐めとって味わう。美味しいとは思えない。けど、志貴のものと思うだけで興奮する。熱い強ばり。今、秋葉は志貴のものをふくんでいる。夢にまで見た志貴のものを。
 ああ、熱くなる。触られてもいないのに外気に晒される胸。乳首が尖る。部屋の空気の感触にますます興奮する。伸ばされる志貴の指。捻られる。乳首を摘まれ弄られる。コリコリと爪で弾いている。くぐもったうめきを上げる。志貴のものを頬張りながら上目遣いで睨んだ。志貴は少し笑うと指は髪をすくい始める。髪には神経は宿ってない。なのに気持ちいい。激しい歓喜こそないが安心できる。優しく撫でてくれる。秋葉は頭を動かしつづける。志貴のものを咥えて舐めつづける。上目遣いでもう一度志貴を見る。気持ちよさ層にしている。少し上気した顔で秋葉を見下ろしている。優しく髪を撫でてくれる。
 一度、口から離してみる。志貴のものはてらてらと光っている。先走りの液。秋葉の唾液。醜く淫靡で綺麗。秋葉はそう思った。
 志貴の竿を横から咥えた。ペロペロと舐める。乙女に爪の手入れは欠かせない。少し尖らせた爪で志貴の袋を軽く引っ掻く。なでるように優しく。志貴はうめくように腰が逃げだす。逃がさない。ほんの少し強く爪を立てて「イタッ」という志貴の声とともに袋を舐め上げてあげる。爪を立てた部分を癒すように優しく。なのに逃げ出す。志貴の腰は引いている。あまりの快楽に堪えられない。
「…………秋葉。お前、どこでこんな────」
 志貴はやや、咎めるように不思議そうに秋葉を見つめる。少し唇を釣り上げるだけで秋葉は答えない。逃れようとする腰をしっかり掴む。ペロリぺろりと舐めていく。胸に向かう志貴の指は巧みに腕や体を動かしてブロックする。
 志貴の指は秋葉の頭に向かった。軽く髪を撫でてくれる。と、思ったら耳を優しく撫でてきた。頬を優しく撫でてきた。首筋を優しく撫でてきた。
「あっ」
 おもわず漏れる声。志貴のものから口を離してしまう。志貴はすばやく腰を引いて逃れ、頭を下げて秋葉の頬にキスをする。耳たぶを軽く噛む。首筋を舌で舐めていく。
「……にっ、兄さん。あっ──はあ」
 秋葉は身を震わせてうめきを漏らす。志貴は少し意地悪そうに微笑んで、
「今度は俺が秋葉を気持ちよくさせてあげるよ」
 秋葉をソファーに寝かせる。大きくふかふかでゆったりと横たわられる。肘掛けに秋葉の頭を乗せる。志貴の舌と指が秋葉に這う。
 秋葉に酒を飲ませて口の中を消毒。軽いキスをした後、志貴の舌は首筋と耳たぶに向かう。右側の首筋をぺろぺろ舐める。耳たぶを軽く噛む。ほんの少し歯を立てる。左側に向かう。舐めずに頬ずりする。強く左の耳に息を吹きかける。頬にも吹きかける。そのたびに秋葉は「ふうっ」「はあっ」「はー」「あっ」「ああぁー」「いいです。いいです」と声を漏らす。手は秋葉の胸を揉み立てる。無理やり肉を集めて強く揉む。軽くなでるように揉む。固くそそり立つ乳首を摘む。
「痛そうだな」
 そんな志貴の言葉とともに志貴の頭は秋葉の胸に向かう。
「本当に乳首が目立つなー」
 白い肌の中で真っ赤な乳首が自己主張していた。かすかに微笑むと志貴は息を軽く吹きかける。ふうー。
「あっ」
 少しだけ秋葉は身をよじる。何も言わずに志貴は左の乳首を口に咥えた。
「────にっ、兄さん。はぁっ、あ、いっ!」
 秋葉は首をいやいやと横に振りはじめる。手は志貴の頭や肩にやって引き剥がそうとする。しかし、志貴は離れない。秋葉の乳首を唇だけで噛む。舌で突く、舐める。しゃぶる。歯をすこし立てる。思う存分嬲り弄る続ける。反対側も指で摘んで弄りつづける。秋葉はただ、甲高い嬌声を上げつづけるだけだ。
「乳首だけでそんなに感じるとはな。ふふっ。ここを弄ったらどうなるだろうな」
 志貴は乳首から口を離す。てらてら濡れた様子はいっそうの興奮を呼ぶ。上気した秋葉の顔は少し放心してる。だが、志貴の言葉と視線の先に太ももをにじり寄せる。スカートに隠された場所。志貴は一度もめくらず手も入れてない。ゆっくりと志貴の手はスカートの裾に伸びる。めくらずに太ももに手を這わせる。柔らかい肉付きをたっぷりと堪能し揉み解すと、いよいよショーツに指を向かわせる。

 クチュ。

 濡れていた。びしょびしょに濡れてショーツは用を果たさなくなっていた。滴り落ちる愛液は太もももとよりスカート、ソファーまで濡らしている。
「すっごい濡れている」
 志貴の言葉に秋葉の顔はさらに赤くなる。指をゆっくりと動かす。クチュクチュと水音を立て始める。ただ、すぐに、
「はぁ、いやっ、兄さん。ああっ、あっ、いいです。いいですっ。いっ、うっ、はぁぁぁぁ」
 秋葉の甲高い声にかき消される。
 秘裂に沿って指を動かす。深く食い込ませると新たな液がさらににじみ出る。熱くしっとりとしている。その周辺指を這わせる。太ももやその付け根。ショーツの上から恥毛を撫でたりする。びくっと秋葉は身を伸ばす。クチュクチュと指を動かしながら乳首をかんだり摘んだりする。せつなく声を上げている。わざと焦らしたり強くしたり。志貴は秋葉という楽器を思う存分鳴らしていた。
「……兄さん。そろそろお願いです」
 秋葉は息も絶え絶えに懇願する。視線の先は志貴の怒張する一物。しかし、意地悪く笑うと、
「まだ早いよ。秋葉の味も味わってないし」
 そう言ってショーツを脱がせる。けど、スカートはそのまま。それが志貴のこだわり。
「あっ……」
 秋葉のスカートに頭を潜らせる。むっとするほど濃厚な女の匂い。じっとりとした熱い空気。ゆっくりと突き進み。秋葉の秘裂に向かう。
「綺麗だよ」
 スカートのなかからくぐもった志貴の声。身を捩じらせながら期待する。

 ピチャピチャという音がした。

 志貴は秋葉を舐めていく。思う存分。行儀悪く。腰が跳ね上がるのを押さえてゆっくりと味わう。ひときわ強く甲高く秋葉は泣きつづける。くちゅりくちゅり。秘裂にそって舐める。両ふちを丹念に。くちゅりくちゅり。奥まで舌を入れる。熱い愛液をすくい味わう。クチュリクチュリ乳首に負けないくらい尖りきった肉芽。噛む。
「アァァァァァァァァァァァ! あっ、あぁぁぁぁぁぁ!」
 秋葉は大きく身を跳ねて絶叫し、そのまま力無くしてはあはあと荒い息を吐く。
「──イってしまいました兄さん」
 ひときわ大きな息を吐くとともに秋葉が言う。けど、その視線は志貴のものにそそがれる。
「そっか。じゃあ、次は俺の番だな」
 秋葉を起こして上半身をガラステーブルに這わせる。秋葉の身をまとうのは腰のスカートと白い小さなソックスのみ。上半身は裸。火照った体に冷たいガラスは気持ちいい。
 スカートをめくるとお尻が露わになる。「あっ」と声が出てしまう。ぴしゃりとお尻を叩くとそのまま濡れそぼる秘裂に志貴のものを突き入れる。一気に。
「あう。あう。あぁぁぁぁぁ、あっ」
 秋葉は強く身を硬直させるとぐったりとする。また、イったようだ。けど、志貴は止まらない。そのまま腰を動かす。パンパンと肉打つ音がする。
「熱い。熱いです、兄さん」
 鳴きながら秋葉は言った。
「俺も。俺も熱い」
 腰を動かしながら志貴は言った。ふと、酒瓶と氷を入れた容器が目に入った。氷入れの容器の蓋を開けて一つ大きめの氷を志貴は咥える。そのまま秋葉の背中にキスをする。
「つっ、冷たいです兄さん」
 背骨にそって氷のキスをする。冷たい痕が道を作る。首筋、耳。色んな所に冷たいキスをした。すぐに氷は溶けていった。志貴はもう一度氷を口に含んだ。 


 ──あれからどれだけの時間が経ったのだろうか。二人は裸のままソファーに身を預けていた。
 満ち足りた様子で秋葉は志貴の胸に頭を預けていた。線が細く見えて意外と逞しい志貴の体。何もせずに鼓動を感じていた。  反対に志貴の顔は暗い。妹を襲ったという背徳感。アルクェイドを裏切ったという罪悪感。後悔に満ちた顔で秋葉の髪を撫でていた。
「──そんなに私は我侭でありませんよ」
 秋葉は呟いた。
「私は兄さんに抱かれただけで幸せです。アルクェイドさんから兄さんを盗ろうとは思いません。ただ、ときよりこうやってくれるだけで私は満足です。ねえ、兄さん。私、どうして兄さんに抱かれたいと思ったか分かりました。身も心も結ばれたかったのです。兄さんのいう家族の絆。兄妹の絆も幸せです。けど、物足りなかったのです。こうやって一つになって分かりました。これ以上の我侭は言いません。いつか、きっと、兄さんと別れなければならないときが来ます。遠野家当主の義務を果たすために別の所に嫁がねばならないときが来ます。けど、今抱いた思いがあれば私は幸せに生きていけます。兄さんと結ばれているのですから…………わたしは本当に幸せですよ兄さん」
 秋葉の言葉に何も言わず志貴は頭を抱きしめる。
「ゴメン。俺はお前を傷つけたくないと言いながら自分の事しか考えてなかったな。ゴメン。秋葉」
 力強い鼓動を感じながら秋葉は「いいのですよ、兄さん」と身をゆだねていた。

 二人は兄妹だった。兄妹として抱かれ結ばれた。いつか分かれ行く二人。けど、この日の想いがあればいつまでも結ばれたままだろう。
 秋葉と志貴の生命の共有は既に解かれている。けど、別な絆で結ばれた。永遠に解かれる事のない絆で。



終わり





 どうも、ユウヒツです。なんだかすごいお久しぶりかも。遅筆なのもほどあるね。うん。
 今回は自分なりの真っ向勝負が目的です。小手先に走りつづけ、なんだか自分を見失った気がします。
 二次創作の形はそれぞれです。けど、愛を忘れてしまえばそれはもはや二次ではなく醜い残骸です。
 キャラの名を借りた一人芝居だけはならないよう身を引き締めてこれからも書き続けたいです。

 なお、作品としてはここで終わってます。余韻を楽しみたい方はここで閉じましょう。ささやかでバカバカしいおまけを用意してますから。




「──終わったようね」
 夜風が瞬く。カーテンがあおられはためく。窓が開きテラスには白い白い女性が立っていた。
 赤い目。金色の髪。かすかに微笑んでいる。白いサマーセーター。フレアスカートをなびかせて部屋に入る。かすかに笑う。どういう意図か読み取れない。
 アルクェイド・ブリュンスタット。志貴の恋人。真祖の姫。一歩進む。不意に眼を閉じた。すぐに見開く。金色の眼で周囲を射抜く。
「おい、アルクェイド!」
 焦る。志貴の声に焦燥感が篭もる。立ち上がる志貴の腕を秋葉が掴む。
「アルクェイドさん。誤解しないでください。兄さんは私から誘いました。非は私にあり兄さんにありません。責めるならば私を責めてください」
 ソファーから立ち上がり、真正面からアルクェイドを見つめる。物怖じしない。本音は怖い。自分とて混血の一族。古き鬼の血を受け継ぐもの。最も原初の力に近いといわれた。それでもけた違いだ。アルクェイドの恐ろしさはひしひしと感じる。勝てるとは思えない。反転し鬼の力を振り絞ってもどこまで行けるのか。対抗できるとすれば軋間の当主ぐらいでないのか。
 アルクゥイドはまた眼を閉じた。開いた目はもとの赤い目。コツコツと近付いてくる。動けない。二人は動けずにあるクェイドの一挙一動を注目する。
 そばにまで来た。
「とりあえず──おめでとう、妹」
 アルクェイドは満面の笑みで祝福の言葉を述べた。

 えっ?

「いやー、ずっと不思議だったのよねー。妹も志貴の事好きなはずなのにどうして抱かれないのかな―とね。志貴に抱かれると幸せになれるでしょう。わたしもそうなの。でも、やっぱり鬼畜みたいね。志貴は「お前が可愛すぎるのがいけない」といか何とかいって攻めまくるからね。妹もそうだったみたいね」
 二人は口を開けてポカーンとしている。その間もアルクェイドは志貴がいかに優しく鬼畜かをとくとくと述べていた。
「……なあ、アルクェイド、怒らないのか?」
 少し呆然とした様子で志貴は尋ねる。
「うん? 志貴はわたしを怒らせるような事したの?」
 とても不思議そうに尋ねてきた。志貴は大きくため息をついた。「そういう奴だったな」と呟いた。
「にしても、本当に激しかったね。わたしもこうふんしたし、シエルも凄かったんだから」
 えっ? なぜそこにシエル先輩が出てくる? そんな疑問はすぐに解消された。
「こう、テラスの雨どいの金具に胸を押し付けて……てっ、危ないなー」
 嬉々とした様子で話するアルクェイドにシエルがテラスの窓から飛び出して黒鍵を投げる。ひょいとアルクェイドが受け止めて無造作に投げ捨てる。
「何を言ってるんですか、あなた」
 カソック姿で猛然と抗議する。ただ、確かに服は乱れている。
「えー、本当の事じゃない。それに」
 アルクェイドの視線は志貴たち。いや、ドアにそそがれる。同時に扉が開く。
「琥珀! それに翡翠!」
 秋葉が驚いた声を張り上げる。廊下に二人の双子が座り込んでいた。服も乱れている。琥珀の和服は胸の裾が押し広げられ白い胸が半ばはみ出している。太ももも露わになっている。翡翠もエプロンの下のメイド服のボタンがいくつか外れている。呆然とした様子でこちらを見ている。
 ぱちりとアルクェイドが指を鳴らすと、
「あっ、あははははは。えーと、秋葉さま。お片づけはいつにしましょうか」
 笑ってごまかそうとする琥珀に。
「もっ、申し訳ございません。志貴さま」
 真っ赤になってうつむく翡翠。二人は立ち上がろうとしているが立ち上がれない。アルクェイドが二人に軽い金縛りをかけたのだ。
「ねえ、志貴。わたしも濡れてるの。こんなに」
 フレアスカートをめくるとアルクェイドのショーツからたれた愛液はストッキングに包まれた太ももまでも濡らしていた。
「わたしだけじゃない。シエルも。そこの二人の双子も妹みたいに志貴に抱かれたいと思っている。そうでしょう?」
 アルクェイドの言葉に「いえ、それはその……」もじもじするシエル。「はい。その通りです」あっけらかんと答える琥珀。「……志貴さまが望まれれば」顔を赤く染める翡翠。
「というわけよ志貴。これから全員を抱いてもらうからね」
 え? えっ? えー? という顔になる志貴。
「妹もまた抱かれる? 夜は長いし楽しもうよ」
 志貴に抱きつきながらアルクェイドは言った。既にセーターを捲り上げて志貴に豊満な胸を押し付けている。
「えっと、遠野君がよろしければ」
 シエルはカソック姿で身を捩じらせてスカートから白い足を露わにする。
「いたらない身ですがどうぞよろしくお願いします」
 スカートをめくり上げて「はい、そこでスカートを口に咥えるんですよ、翡翠ちゃん」のポーズを取る翡翠。
「もう、こうなったら乱交ですね。じゃんじゃん行きましょう。大丈夫です。性欲増進に精力倍増の薬は準備してます」
 笑顔とともに服を脱ぎだす琥珀。
「さあ、妹も早くしないと遅れるよ」
 秋葉は呆然と見ていた。みんながいっせいに志貴に駆け寄る。はっと気づくと。
「待ちなさい。兄さんは渡しませんよ」
 と、戦列に加わった。

 月は白く輝いている。蒼い夜風がまう。紅の嬌声はいつまでも遠野家から鳴り響いていた。


本当に終わり。