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古守 久万



「起きるがよい、人間。本当に生きているか分からぬ奴であるな」

 ……ああ、確かに俺はレンに、たまにはと思って『楽しい夢が見たい』って言った。
 しかし、だからといってこれは楽しい夢なのだろうか、眼鏡をかけながらそう思った。

「ああ、おはよう」
 寝癖のある頭を掻きながら、これが夢の中であると瞬時に判断する。
「またしかし……」
 そうして俺はベッドの傍らで俺を見下ろしている朱い月を見ると、何とも言えない気分になった。
「その格好はどうなんだろうか」
「それを聞きたいのはこちらだ」
 メイド服。
 前にアルクェイドが翡翠の服を拝借して着けていたことがあったが、今俺の側にいるのは髪の短いアルクェイドではなく、豊かな髪を足元まで伸ばしている朱い月だ。当たり前ではあるが、髪の長さと切れ長の瞳を除いて、外見に関してはアルクェイドのそれに酷似している。
 しかし、身体から漂う気配は明らかに違う。どことなく荘厳な雰囲気、そして翡翠以上に乱れを見せることはないであろうたたずまい。
 更に、人を蔑むような視線。
「夢は人の奥底に眠る欲望の具現である。その理論からすれば、おぬしの望んだ姿というのがこれであることは、明らかであろう?」
 ……呆れているのか、その瞳の向こうに感じる感情はいつになく冷たい。
「まあ、そうだろうよ……」
 否定することも面倒だ、そう思って俺は素直に認めることとした。

「で、この夢の意味、分かってる?」
 期待はあまりしないまま、俺は尋ねる。
「無論だ」
「へえ」
 しかし、朱い月は何事もないように……まるでくだらない報告を受け流すような口調で答えていた。
「おぬしが望んだことであろう、それを答えぬ夢を見せるほどあの夢魔は愚かであるか?」
「いや……」
 それは否定しない、しかし実感に欠ける。
 そんな俺の様子が気に入らなかったのか、
「ふむ、信用していないようであるな。ならば己の身を以て知るがよい」
 微かに眉根を上げた朱い月が、ゆっくりと俺の布団を剥いでいた。
「ふむ、身は正直であるようだが」
 布団の舌では、寝起きで血の集まったペニスが、ズボンの中ではっきりと自分を主張していた。
「男はいつもこうなのさ」
 それを見られても、感情の起伏が少ないこいつの前だと、こちらも羞恥という感情を覚えることはない。
「さあ、すればいいさ」
 むしろ冷たく、ではないが、努めて冷静な態度で促した。
「うむ」
 ベッドにきしり、と膝を乗せる朱い月。俺の腰めがけて前屈みになる身体。そしてズボンに手をかけると、トランクスごとさもない事のようにずり下げてしまった。
「力強いな」
 朱い月は俺のいきり立ったモノを驚くでもなく軽く一瞥して言うと、おもむろに手を伸ばしてきた。
「くっ……」
 外気に晒されて一瞬冷たい心地を味わっていた幹に、朱い月の手が触れた。冷徹な女と思えても造りは人と同じだけあって、その手のひらの感触は暖かく、また脳を痺れさせるような女性の柔らかさだ。
「なんだ、もう我慢ならぬか」
 ここで初めて朱い月がこちらを見る。下賤の輩と見下したその瞳がサドのそれに見えるから、妙に淫猥な雰囲気を醸し出す。
「う、るさい。声がちょっと出ただけだ」
「そうか、これ位でくたばって貰っても困る」
 強がると、朱い月はそんな俺をあざ笑うかの如く幹を扱き始めた。
「……っ、……くっ」
 俺は冷静を装って抗おうとしたのに、朱い月の指の動きは想像を遙かに超えていた。
 ゆっくりであるのに、絶妙すぎる動きが確実に俺を捉えている。
 ずっ、ずっ……と、しなやかな指が俺の裏筋を撫で上げ、そして亀頭のくびれを擦る。痛いと感じる直前の強さで握られ、一瞬の油断も許せない快感が襲いかかってきた。
 乾いた動きに、次第にニチャ……と糸を引く音が混ざり始める。
「ふむ、先からもう滲んでおるな」
 まるで根本から絞り出されたように、乾いていた先端が早くも先走りで濡れ始めていた。
 それを朱い月は人差し指を伸ばし、亀頭に擦りつけていく。
「く……あっ」
 柔らかな指先がぬるぬると汁に絡んで触れる度、背筋が震え上がった。しかしそれをこいつに知られるのは嫌であると、俺は歯を食いしばって耐える。
「我慢が足りぬな、汁が止まらぬぞ」
 朱い月は挑発している。あっさりと私の指で果ててしまうのか、と。
「ふん、それなら汁を舐めればいいじゃないか」
 そんな言葉に、俺はこいつに負けるわけが、そして出来る訳が無い、そんな期待を微かに持ちながら、ぶっきらぼうに言い放った。
「そうか、ならば望み通りにしてやろう」
 しかし、朱い月は俺の挑発をそれとも全く思わない様子で答えると、扱き立てて垂直になっていた幹へ、おもむろに顔を近付けた。そして……
「……く、あっ」
 飲み込んだ。
 舌で先を軽く撫でるとか、そんな回りくどいことは皆無に、一気に口を広げて俺の亀頭を、幹をその口内奥深くまで含んでいた。
 ず、ず、ずっ……
 喉の奥まで飲み込み、底なし沼から引き抜くみたいにゆっくりと先端まで戻す。
 そんな唇が、ぴったりとペニスに吸い付いて離れない。
 いや、唇だけではない、朱い月の口内全体が、寸分の隙間も感じさせない程にペニスへと吸い付いていた。
「ふふふ……どうした、人間。先程から女みたいな声をあげて」
 唇を亀頭に擦りつけてキスをするみたいにしながら、朱い月は余裕の表情でこちらを見上げた。
「う、るさい……っ、余計なことを考えてるなら、もっと気を入れろ……っ」
 そう答える瞬間にも鈴口をチロリと舌先でこじられ、声がうわずる。
「そうか」
「! ……っ」
 ぐちゅりと、唾液を溜め込んでいた朱い月がその返答に合わせて再び愛撫を始めた。
 先走りに唾液が混じり、ドロドロに熱く溶けた口内が、俺の言葉を奪ってゆく。
 愛撫なんて生やさしい表現じゃない、朱い月は俺のペニスを搾り取っている。
 舌が絡みつき、狭めた口で吸い付く強さ、それはまさしく蛇がネズミの胴を締め上げる、そんな姿を考えてしまう。
 ずちゅう、ちゅ……ぅっ。
 強烈に吸い付ける中にあってさえ、舌全体を使って幹と亀頭を続けざまに撫で上げる感触がおかしい。
 奉仕させている、図式はそうだった筈。
 メイド服を着、目の前で俺の腰に身体を埋め、頭をゆっくり上下させている朱い月。ヘッドピースが添えられた頭部が奏でるリズムは、その遅さ故にドロドロに溶けた水飴を連想させる卑猥な動き。
 あまりにも卓越している、まさかこんな……と、既にイメージは瓦解し、引き込まれそうであった。
 それでも、簡単に堕ちるものかと必死に耐える。
「ん……」
 腰に力を込めた瞬間、口内で膨らんだ亀頭に朱い月が初めて感情と思わせる声を上げる。
 しかし、それはすぐにかき消え、
「……ぐっ」
 次の瞬間にはその亀頭を包み込むように舌でねぶられていた。トクトクと次々に滲み出ている先走りを絡め取られ、飲み込まれる。

 朱い月は、俺のペニスを愛おしんで愛撫しているのではなく、浅ましい男を絶頂させようとして愛撫している。
 アルクェイドが口でしてくれるときは、楽しそうに緩急をつけて人の反応を楽しみながら優しくしてくれる。
 しかしこいつの動きには、一切余分な成分がない。
 俺から快楽を確実に引き出し、絶頂へただ邁進させる愛撫だ。
 常に幹に吸い付き、常に亀頭の先端を吸い、精液を出させようとしている。
 『遊び』がない。
 『弄び』もない。
 ただ実直なまでの……いや、凶悪なまでの愛撫に、俺は腰の奥が震え始めた。
 と、そんな時。
「……」
 人を見上げて、冷たく見据える瞳。余裕に満ちあふれ、男のモノを銜えているというのに、気品にもプライドにも僅かな陰りは見えない。
 ――気持ちよかろう、早く出すがよい。
 ――出して良いのだぞ、この口に、望むだけ。
 そう言いたげな朱い月の様子に、まだ出してなるものかと意地を張ろうとした俺だったが、
「ん……」
 頬にかかったそれが邪魔だと、朱い月がその絹糸のような髪を軽く掻き上げた瞬間、その姿に急に一人の女性らしさを感じてしまい……
「――!」
 あれほど耐えていた我慢が、あっさりと崩壊した。
 びゅく、びゅくっと口内に、まっすぐ吹き出した精液が朱い月に搾り取られていく。
 それを事もなさげに受け止め、尚も頭をゆっくり上下させる朱い月が、ごく、ごく……と俺のものを飲んでいた。
「くっ……!」
 喉が一つ鳴るたびに精液が一塊り吐き出され、それを飲み込む喉に再び……と、容赦なく朱い月は俺の精液を全てその体内に取り込んで……
「ふ、出したな……」
 先端に届かなかった、尿管に残る最後の一滴までを残すことなく吸い上げてから、顔を上げて冷たく見上げていた。
「……」
 あまりの快感に、今出したばかりなのにブルブルと震えそうになっている身体を懸命に抑え、俺は朱い月を睨むようにする。そうしないと完全に取り込まれそうな雰囲気に、なんとしても抗いたかったからだ。

 朱い月は値踏みするように俺をじっと眺め、それから冷徹に笑った。
「ふ、その強気の表情、私の好みだ」
 そう言うと朱い月は身を翻し、俺に背を向けてスカートの中へ手を入れる。
 再び手が現れたときには、その指には小さくなったショーツが絡まり。
 そしてまたスカートをたくし上げると、四つん這いになって俺にヒップを晒しながら……
「どうだ、私の準備は出来ているぞ。一度では足りぬだろう」
 その高々と掲げた尻の中心、卑猥に色付く花弁を指でにちゃり……と広げた。
 ……広げられた花弁は、真っ赤な肉。
 中心に向かって窪み、その奥から透明に近い粘液がドロドロと溢れかえって、今にもシーツへと零れ落ちそうになって俺を呼んでいる。
 ひくり、と意図的に動かしたのか一度収縮すると、潤いは更に増し、遂にシーツへと糸を引いて流れた。
「入れたいであろう? 私の膣、好きなだけ味わうがよい」
「う……く、ああ……」
 こちらを振り向いて見据え、挑発的な態度に物言い。
 普段ならば反抗する筈のそれが、あまりにもサドで、サドで……呻きしか出ない。
 下賤であると貶められても、最早逃れることが出来ない。
 俺は出したばかりでも一向に萎えることのないペニスを跳ねさせながら膝立ちになると、尻を掲げた朱い月の腰まで近づき、その尻に手を添えると……
「く、ああああ……っ」
 亀頭が触れただけで射精しそうになるのを堪え、腰を進める。
「ふ、ようやく来たか……」
 朱い月はその瞬間にも余裕を絶やすことなく、俺の亀頭を膣口でしっかりと受け止め、更に促す。ぴったりと吸い付くような入り口の加減に震えを感じながらも、俺はそれを振り払うべく力を込めると……一気に挿入した。
「くっ……」
 その瞬間、勢いに朱い月が微かな声を上げる。
「く……!」
 僅かな変化に、いきなり射精しそうになった俺はしかし、歯を食いしばって堪える。瞬間で射精などしたら、俺は朱い月に一瞬で切り裂かれてしまうに違いないから。
「太く、深いな……奥に当たってるぞ」
 朱い月は、先程の声は全く意味がなかったものだと言わんばかりに自らの腰を振ると、子宮口まで当たっている俺の亀頭の存在を確かめていた。
「口ばかりではないようだな。これならアレも、おぬしに心奪われるやも知れぬ」
 俺を褒めているのか、アルクェイドを蔑んでいるのか。朱い月の言葉は本来ならばしゃくに障る。
 しかし、状況はそれを全く考えさせなかった。
 まるで幾億もの何かが、朱い月の膣内に蠢いている。
 ぬらぬらと軟体の何かが、飲み込んだ俺のペニスに触手が如く。ひとつひとつが、ぺとり……と手を張り付かせているのだろうが、それが幾重幾十重にも重なって、最早味わったことのない感触となって俺を絞り続けていた。
 半端な快感ではない。死にそうな程の快感で、頭が飛ぶ……!
「どうした、動かぬのか? それはそれでもよかろう」
 しかし、朱い月はそれを当たり前のようにさせながら、尚も俺を挑発した。
「く、そ……っ」
 その瞳に抗う気持ちが辛うじて復活した。
 このままやられてばかりでは、少しもおもしろくない。
 ず、ずずっ……
 俺はカチンと奥歯を深く噛みしめると、膣の最奥からペニスをゆっくり引き出した。
「そうだ、もっと動け、そして快楽を覚えてしまうがいい」
 腰を僅かに引きそれに合わせると、朱い月は今度は尻を俺に押しつけるように動いた。
 ギリギリ亀頭が抜け落ちる寸前のところから抜くことを許されず、俺はまた吸い付けられるままに朱い月の胎内へペニスを引き戻されていく。
 ぎちり、ときつい膣内は、しかし異物を押し出そうとするそれではない。初めてアルクェイドが俺を受け入れた時の感触ではなく、それは男を一瞬の隙も無く搾り取るための造り。
 隙間無い膣内を進むと、ぞわぞわと全ての襞が亀頭を、幹を絡め取っていく。再び漏れだした先走りと朱い月の意図的であろう潤滑油がそれに手を貸して、更に密着度が高まっている。
 押しても、引いても快楽が止むことはない。それどころか押す度に、引く度にその様相を千変万化に変えていく襞が、今までにない速度で俺を絶頂へ導いていった。
「く、あ……っ」
 声になどならない。
 アルクェイドと蜜月を覚えた俺でさえ、今までに味わった事のない強烈すぎる快楽に最早初めてと差はなかった。
 俺は朱い月の掲げられた尻を掴み、その熟れた肉を両手で力の限りぎゅうと掴みながら、背後から犯すようにペニスを突いている。
 相手はメイド服を着て尻だけを露出させ、それこそ主人が使用人をいいように使っていると思わせるのに……なのに、全ては朱い月が主導権を握っている。
 微かでもこいつへ快楽を与えようと必死になり、しかし自分は快楽に一瞬で屈しそうになっている。むしろ主人なのは朱い月で、俺はその性処理用の小姓だ。
「さあ、来るがよい。人間が私の膣に出すなど、他に無いことだぞ」
 ぬらぬらと腰を揺らしながら、朱い月は冷たく笑って俺を見る。
 その視線はどこまでも自分優位。
 ――私の身体で感じて、そして精を吐け。
 そんな人を見下した考えが裏打ちされているとしか思えない態度に、しかし機敏に反応する余裕などもう無く。
 そうやって全てこいつの思い通りにさせられているのが……頭に来るはずなのに、抗えない自分が悔しい。
 悔しいが……どうしようもなかった。

 びゅく、びゅくびゅく……
 十度往復する前、俺は朱い月の胎内、その最奥に大量の精液を放っていた。
「ふ、んっ……」
 射精した瞬間、膨らんだ亀頭が子宮口を押し込み、吹き出した最初の精液の塊で入り口を叩かれたからか、朱い月が一瞬だけ呻いた。
 その反応に興奮が更に引き上げられたか、精液は何度放出しても一度目に劣ることはなく、次々に朱い月の胎内を満たしていった。
 しかし、それは俺が快楽を満たすだけであり、朱い月にどんな快感を与えているのかは分からない。
 だが、出てくる精液は止められない。
 びゅくりとまた吹き出したそれが、射精を知った時から更に強烈に締め付け奥へ誘うように蠢いていた襞に導かれて、朱い月の子宮に届く勢いで注がれていった。
「く、あ、ああ……」
 呻き。
 屈した訳ではない。
 ないが、漏れてしまうそれを止めることが出来ない。
 あまりの快感が無意識でそうさせているのだ、思い込んでただ一人だけ負けを認めない自分がいる。
 そんな俺を見下すように、朱い月は胎内に次々に流れ込んでいく精液までも値踏みするかのように受け止め、腰を振った。
「……あっ」
 最後の一滴、それこそ口で吸われた時と同じ強さで膣に搾り取られ、俺は射精を終えていた。
 激しく動いたわけではないのに、精と一緒に力まで吸われた俺はがっくりと尻に手を置いたまま朱い月の上に倒れ込む。
 はあっ、はあっと息を荒げるのは一人。
「ふふふ……来たか、これがおぬしの精だな」
 そして、朱い月は何事もなかったようにこちらを見ると、用済みとばかりに膣圧でまだ強く勃起したままの俺のペニスを押し出していた。
 ずるり……と、まるで自らの意志があるように膣から抜けるペニス。
 今まで幹が刺さり穴を穿っていたそこは、亀頭が抜け落ちる瞬間も膣口できゅっと俺を締めると、快感にわなないている俺がその揺れで亀頭を押しつけても、もう二度と口を開けないとばかりにぴったりと閉じ合わさっていた。
「く……っ」
 それが悔しいではないが、絶頂から抜けない亀頭を擦って余韻に声を漏らす。そんな俺の動きを拒むでもなく自由にさせながら、ひとり朱い月は胎内に注がれたそれを味わっていた。
「出したな。……濃く、量も多い。アレがこれに虜にされているのだな」
 精液で俺を認めているのか、その態度が気に入らないが、朱い月の想像を僅かでも超えられたらしい事実に、辛うじて怒りを抑えられた格好。
「しかし……」
 と、そこで朱い月が人のことを無視して身体を動かす。
 本当はまだこうやって身体を預けていたいのに、俺は普段のつもりでつい気怠く身体を離してしまった。それに気付いた時には遅く、朱い月は自由になった身体で四つん這いの姿勢を終え、捲れたスカートも自然に戻る中、俺の前に脚を曲げて座る。
 こうやって居住まう姿だけ見れば、翡翠に似た誠実で静かな、少しだけその目が気の強さを語りそうなメイドである朱い月は、しかし自らを使用人などという立場へ微塵とも置こうとしないオーラに近い雰囲気を持ち。
 そして……
「ほら、二度ではまだ足りぬであろう?」
 脚を大きく広げるとスカートを上げ、再びその喰虫華に近い淫靡な膣口を見せつけた。
「私が思ったより強い精は、評価に値するぞ、人間」
 そうして指を添えると、広げられたそこからはごぽり……と俺の精液が溢れ出ていた。
「ふむ、活きがいい。私の膣内で暴れても、まだこの濃さ」
 それを二本の指で掬うと、朱い月は蜜を舐めるようにしてそれを口に運び、
「味も濃い。量も申し分ない。アレを孕ます位なら、まあ相応ではあるか」
 そうしてこちらを見ると、ふっ……と笑っていた。
「……」
 楽しい夢ではない気がする。
 何から何まで人の神経を逆撫でする発言をこいつは……
 しかし、その淫靡な視線に捉えられ、意志は薄弱。
 俺は何も言わず、何とかしてこいつに一泡吹かせたいという欲望を胸に、再び挑発されるままに朱い月を組み敷いて挿入していた。



「……」
 結局、朱い月は終始余裕で俺を翻弄しただけだった。
 確かに一度、熱い溜息を漏らして俺を射精させたが、それは俺を震えさせる為の演技だと言われ、またムキになって朱い月を押し倒し、今まで知っていた全ての体位で、今までになく深く強く激しく突いたのに、見ることが出来たのは半ば退屈そうな顔。
 しかしそれでも『いいぞ、人間』とか『より深いな、女を悦ばす手立てはよく知っているようだ』と、冷たい声で言われたのは少し興奮したし……誇るべき事なのか。
「……いやいやいや」
 そこでブンブンと首を振り、朱い月の思い通りにならない事を改めて意識する。
「くそう、くそう……」
 確かに指で数えられない位に朱い月の膣に、顔に、尻に射精した。それはレンからすれば最大限の努力をしていて、『楽しい』事であるには違いない。だからここでこんな夢を見せたとしても、レンを責めるのは無しだ。
 と、
「やっほ〜、おはようございます、し・き・さ・ま?」
 ……このタイミングで部屋に飛び込み、あまつさえメイド服を着て朝の挨拶をするアルクェイドも間が良いというか悪いというか。
「ああ、アルクェイド」
「な〜に?」
 俺は眼鏡をかけながら、そばまでやってきたアルクェイドの手をぐんと掴むと、そのままベッドに引きずり込んだ。
「きゃっ! なに?」
「なあ、この格好で新しい体位やプレイを研究してみないか」
「?」

「ああ……上手くなかったら、冷たく言い放つのもアリだ」



<おしまい>




 古守さんより頂きました、朱い月様SSです。
 先日、よくお邪魔してるチャットで「朱い月様にメイド服って萌えじゃないか?」という話題に花が咲きまして、しまいにはさせたいご奉仕とかに盛り上がるダメっぷり。
 で、俺も「朝立ちしてる志貴のを傲慢に、でも丁寧になめたりするの良いよなぁ」とかぽろりと言ってみたり。
 そうしたら翌日にこれが届きました。(驚
 古守さん、あなた神です。最高です。
 本当に、ありがとうございました。