鬼の来訪より一日が過ぎた

 今宵は舞踏会…

 鬼は舞う――悲しき復讐の舞を

 此度の傍観者は夜空に浮かぶ新円の月…

 鬼と殺人貴達の邂逅の刻は近い…






















                           


                          

〜夢幻の闇〜



第二話  「月下の邂逅」



                                                     作 過ぎ去りし流星







 十夜観月が来訪した日の夜――つまり昨晩の出来事となるが、遠野家を去った観月は夜の繁華街を歩いて

いた。

 これは彼の凶った日常の行動である。一族の『鬼』を討つという務めを果たすべく彼は歩く…

 古来より不思議と彼らの赴く地に多く『鬼』は出現してきた。それは如何なる因縁か…

 『鬼』の気配を無意識に観月達が感知したのか?それとも『鬼』となったモノ達が観月達を真っ先に殺したい

のか?

 真相は誰にもわからないが観月は『鬼』の到来を確信していた。

「近いな…そろそろヤツらが来る…」

 彼が歩みを進めている場所は路地裏…吸血鬼事件の際、多くの犠牲者を出した場所であった。そして路地

裏へ入るとそこには先客がいた

 ソレは異常な瘴気に満ちている…それほどまでにここでの死せる魂は苦痛に震えているのか。

 そこに存在していたのはまぎれもなく『鬼』だった…角は毒々しいほど伸び、その身は赤黒い筋肉の鎧。そし

て強烈な存在感。かつての犠牲者達の凶念ともいえる存在…

「この苦しみ…人知れずに、理不尽な死を迎えし魂達の念か?」

 『鬼』は犠牲となったもの達の苦痛の声をまるで再現するかのような咆哮をあげる。

 観月は無表情のまま戦闘態勢に入った。腰に手をやるとそこには自らの角、日本刀がいつの間にか帯刀

されていた

「これほどの念がありながら複数ではなく単体で具現化するとは…死んでいった者達の想いは一つということか」

 それは苦痛からの解放、誰かに想いを知ってもらいたいという衝動…そんな念の塊が一体の『鬼』として具現

化したのだろう。

 『鬼』は触れるモノ全てを紙のように切り裂くであろう漆黒の爪を伸ばし観月に襲い掛かろうとする

 タンッ!とその巨体――3メートルほど――には似合わない軽快な地を蹴る音

 観月は微動だにしない。ただ静かに佇んでいる…

 迫り来る『鬼』はまさに黒い旋風…眼を光らせ自らの衝動を満たすために己に一番近い存在である観月を殺

そうとする

 その凶念の塊である黒き爪は観月の心臓にあたる左胸を貫いた……

 否…爪は貫くこと叶わず左胸に宛がわれる形のまま静止していた

「私は確かに皆の想い、受け止めました。今こそ、苦しみから解放されることを願い私は…斬るッ!」

 自らの爪が効かぬことを悟った鬼は一旦距離をあけようと後ろに跳んだ

 観月は刀に手を置いたまま腰を落とし居合いの構えをとりながら語る

 「私が断つのは人の想いではない。『鬼』となった『貴様』だ…想いを解き放つため『オレ』は…」













―――――貴様を……屠る…ッ!―――――









 そう言い放つと観月の眼は紅く染まり、標的を見据える…

 鬼はその眼光に怯んだようにも見えるが再び爪を振うべく跳ぶ…

 観月もやや遅れながらも居合いの構えのまま駆ける…

 一瞬の交差の後、両者は互いに背を向ける格好で静止していた。観月は刀を納めた姿で、鬼は爪を振り下

ろした姿で…

 ……さようなら………

 そんな声が聞こえるの同時に鬼は五つに解体されていた…

 観月は一瞬の交差で抜刀と納刀を五回繰り返し、つまり居合い斬りを五回繰り返し、相手を刻んでいたの

だった

「いつか、来世で逢いましょう…」

 観月は眼を通常の黒に戻すと路地裏を去った。後には五つの蒼い剣閃が残されていた…





















 時は戻り、悪夢の一日が過ぎた遠野の屋敷…

 悪夢のような来訪だったが志貴達は改めて家族という絆を認識した奇妙な一日だったといえる。昨日は何事

もなく過ぎ去った。

 皆それぞれの日常を過ごしていた。志貴と秋葉はそれぞれの学校へ行き、琥珀と翡翠はそれぞれの仕事に

励んだ。

 だが、さすがに当日ともなると不安や緊張は隠せないようだった。

 遠野志貴も例外ではなくなんと朝の六時に目を覚まし、起こしにきた翡翠を驚かせている最中だった。

「(ちっ)…おはようございます、志貴様」

「ああ、おはよう、翡翠。いつもありがとね」

 翡翠は志貴の寝顔を見れずにややご立腹だが志貴の声を聞くと満足したようだ。

「今日はお早いですね。いつもこのようですと秋葉様もお喜びになられます」

 いや、翡翠はご機嫌ナナメのままだった…そんな翡翠に志貴はあるジョークを思いついた。

「う〜、ひょっとして酷いこと言ってる?」

「そ…いえ、言葉通りです」

 お互い顔を合わせ、笑顔でビシッ!と親指を立てる。

「ノリがいいな、翡翠」

「志貴様もその…可愛かった…です。そ、それでは着替えを置いておきますので。では失礼します」

 部屋を出ていく翡翠を見送り、志貴はさっきのショートコントを『雪国でポン』と名付けようと考えた

 はて?志貴はこんなどうでもいいようなことに一生懸命な性格だっただろうか?本来の性格はどのようだった

か…ぜひ答えを出したかったがもう着替え終わってしまったため、ロビーへと向かうことにした。









「なっ!?兄さんが平日というのにこんな時間に!」

 ロビーに行くと最愛の妹は朝の挨拶もせずにこうホザいた。志貴ちんショック…

「翡翠の話を聞くかぎり、兄さんは起きないから奇跡だというのに…」

 まだ先ほどの『雪国でポン』が続いているのだろうか? まさかな、と結論を出し秋葉に声をかけようとしたが

おそらく聞こえないだろうと判断し、食堂に向かおうとすると…

「舞ってください志貴さん」

「ナゼ朝っぱらから舞わにゃならんのですか」

「あは〜♪誤変換ですよ」

「では改めて、待ってください志貴さん」

 朝からコハッピーなこの人は…

「なんですか?琥珀さん」

「せっかく早起きしたんですから秋葉様にお声をお掛けになってもいいでしょうに…」

「でもなんだかトリップしちゃってますよ?」

 事実秋葉はブツブツとナニかを言っている…それに声をかける勇気があろうか?…いや、無い(反語)。

「いつも秋葉様は志貴さんとお話がしたいと思っているんですよ?それなのに…」

 と、着物の懐に手を伸ばす琥珀さん…

「ヤア、アキハ!オハヨウ、イイアサダネ!!」

 身の危険を感じた志貴は音速で秋葉に話を振った。

「…では、お食事の用意をしてきますので」

 琥珀さんはそう言って下がっていった。

「ふう、命拾いしたぜ…」

「はっ!兄さん、おはようございます」

 と、正気を取り戻した秋葉。

「ああ、おはよう。今日はなんか緊張してね、早起きできたよ」

「そうですね。でも私は皆に感謝してますよ?だって、脅えるどころかいつも以上に楽しいですから」

「そうだな。これが俺達の抵抗だ。脅えてなんかやるもんか!堂々と向かい合おうな」

 そう。志貴達は何も空元気を出しているのではない。強い絆を感じ、いつもより砕けた態度で接することがで

きる。

 誰一人脅える者はなく、復讐者と向き合う覚悟は決まっている。これが遠野の、家族の強さといえる。

 皮肉にも観月が失ったモノがここにはあった…

「ふふ、さて兄さん。今日は寄り道せず帰ってきてくださいね?」

「いくら俺でもそこまでノンキじゃないよ。」

「どうだか。だいたい兄さんは…」

 といつもの「長男の自覚が足りません」の小言が始まる頃、

 これもいつものタイミングで琥珀さんの「志貴さ〜ん、ご飯ですよ〜」の声がかかる。

「では妹よ、兄は食事を取ってまいる」

「ええ、ごゆっくり」





 平和な朝の風景は過ぎ、各々の学校へ向かった志貴達だったが、志貴は早起きの反動か、七夜の血が戦

闘に備え睡眠を求めるのか?

 授業中はほとんど眠っていた。ここで彼は不思議な夢を観ていた。

 そこは屋敷の森の中…空にはいつか見た新円を描く月があった。

「いつだったか…前の夢ではここで四季と酒を呑んだんだよな」

 かつての友と、殺し合った友との再会の地…志貴が観ている夢はまさにその風景だった。

「よう、殺人貴」

 と、不意に聞こえる声。この声は…

「四季かい?」

「おお、俺だ。なんだ、あんま驚かねえな。」

「なんとなく会えそうな気がしたんだ。君とね」

「ちっ…男に言われても気持ち悪いだけだぜ?」

 まったくだ、と二人のシキは笑う。

「さて、志貴よ。何やら面倒なことになってるな」

「わかるのかい?」

「当然だ。これは夢だぜ?何でもありだ。で、覚悟は決まってるみたいだな」

「ああ、おそらく戦うことになると思う」

「ふん、心配なしか。それより、まだこっちには来んなよ?秋葉はお前が守れ!もちろん琥珀も翡翠もだ!」

「わかってるさ。だから、力を貸してくれよ?お前も一緒に戦ってくれよ」

「甘ったれやがって。俺にはこうやって声を届かすぐらいしかできねーよ」

「十分さ。お前の分まで、な」

「おう。ところで、目を覚ましたほうがいいぞ?もう放課後とやらだ」

「そっか、じゃあ…またな。話せてよかったよ」

「俺もだ」

 お互いに笑いあい、背を向ける。振り向きはしなかったが志貴はどうしても言いたいことがあった

「お前だって家族なんだからな!忘れんなよ」

 返事はなかったが四季が笑っているように感じた。そしてゆっくりと意識が覚醒していくような感覚がした。

 目を開けるとそこは見知った教室。どうやら本当に一日寝ていたようだ。

「まったく、心配性なヤツだよ」

 志貴は夢で出会った彼に毒づく。

「ありがとうな、四季…」

 虚空へ言葉を送る…それは志貴の決意。

 そして舞台は確実に整いつつある。月下の邂逅へ向けて…










 屋敷に戻るとロビーにみんなが集まっていた。

「ただいま、みんな」

 おかえりなさい、とそれぞれ言葉が紡がれる。

「みんな、ついに今日という日が来てしまいました。おそらくあと数時間で彼はやって来るでしょう。私は当主と

しても戦う決意を固めました。兄さんには申し訳ないですが力を貸してもらいます。そして、琥珀と翡翠はここに

隠れていてちょうだい」

「ちょ〜っと待ってください、私と翡翠ちゃんは除け者ですか?」

 秋葉の言葉を聞き琥珀は非難の声を上げた。翡翠も声には出さないが表情が物語っている。

「そうじゃないわ。あなたたちにもやってほしいことがあるの。でもそれは戦闘が回避できたときと決着が着いた

時です。

 戦闘に二人は巻き込めないの。わかってちょうだい」

 納得できない二人だが自分達のせいで志貴と秋葉に何かあっては申し訳ないとは思っている。

「じゃあ琥珀さん、今夜に備えて何か軽めのもの作ってよ。そしてさ、みんなで食べよう」

「あはっ、らじゃ〜です♪」

「みんなで一緒、ですか。秋葉様、よろしいのでしょうか?」

 ノリノリな琥珀と期待半分、不安半分の翡翠。

「いまさらですしね。そうね、みんなで食べましょうか」

「では、早速準備してきますね〜」

 台所に姿を消す琥珀を見ながら秋葉はため息をもらす。

「まったく…せっかく場を引き締めようとしたのに…台無しね」

「そんなことないさ。それだけ覚悟はみんな出来てるんだ」

「その通りです秋葉様。僭越ながら私も何かお役に立てるよう、観月様に関する情報を集めました」

 と、翡翠の興味を引くには十分な一言。当然二人は先を促す。

「昨日と今日でだいたいのことは槙久様の書斎を調べてまとめてあります。といっても観月様個人の情報では

なく、鬼という一族全般のことになりますが…」

「かまわないわ。続けてちょうだい」

「はい。彼ら鬼の一族は代々この国を中心として『鬼』を退治しているというのは観月様の言葉通りでした。彼ら

の力についてですが、統一性はなくバラバラの能力を持っているようです。しかし、大きく二分されています。

 一つは力を解放し、なんらかの能力を併用し白兵戦に特化した型。そしてもう一つは秋葉様のように間接的に

能力を駆使し相手と戦う、つまりは魔術的ともいえる戦い方をするタイプに分かれているようです」

 一息でここまで説明する翡翠だが、ここまで端的にまとめ上げるのには苦労したであろうと思われる

「なるほど…」

「奇しくも条件は同じですね」

 志貴は接近戦、秋葉は遠距離戦。お互いにサポートできるということは、観月の能力がどちらであろうと戦術

は二つに絞られる。

 納得顔の二人に翡翠はさらに言葉をかける。

「それと、はっきりと書かれていたことですが、『鬼眼』には気をつけろ、と」

「キガン?なんだい、それ」

「解かりませんが、ここまではっきり警告されていると無視はできず…」

「魔眼の一種かな?どっちにしろ無視はできないか」

「かまいません。何があろうと生き残ればすみますから」

 秋葉の言葉はとてもよく通った。それは揺るぎない意思から出た言葉だからであろう。

 一見無謀だが秋葉の性格を考えればもっとも彼女らしい解答であることは間違いない。

「みなさ〜ん、ご飯ですよ〜!」

 こうしてみんなで食事を取ることになったがそこで琥珀の「最後の晩餐にならないといいですね〜」というコメン

トがあったのは…お約束。











 やや早めの食事を済ました志貴達は屋敷に琥珀と翡翠を残し、志貴、秋葉の二人は屋敷の入り口で待ち構

えていた。これは万が一にも屋敷内での戦闘を避けるためだ。

 現在は午後八時…空には血潮に翳ることのない月が浮かんでいる。

 そして月光に照らされながらこちらに歩いてくる一人の男の姿がそこにはあった。

「おや?当主直々の出迎えですか?」

 何時ぞやの雰囲気のまま語る男はいうまでもなく十夜観月…ただ、この前と違うところは左手に鞘に収めた

日本刀を持っている事。

「そのような物騒な物を持った輩を屋敷に入れるわけにはまいりませんので」

「場所を変えよう。この屋敷の庭だ。それなら文句ないだろ?」

 志貴は一度他の場所も考えたが以前ネロとの戦いで犠牲になった少女が脳裏に掠め、この場所で妥協した。

「貴方は…なるほど。いいでしょう」

 場所は移り…遠野の森の中

「さて、そのような姿で来たということはやはり私達を殺す…ということですね?」

 秋葉の最後の望みを賭けた問いにも観月は笑って答える

「ええ、そのつもりです」

「その前に話しをしないか?」

「遠野志貴くん、いや、七夜志貴くんの方がいいいいですか?」

「俺は遠野志貴だ。それより、こんな無意味なことやめよう」

「すみませんが、言っていることの意味がわかりませんね」

 嘲笑うような雰囲気はなく、純粋に疑問を問う観月。

「だから、復讐なんて無意味だろ?誰も変わらないし、あんただって復讐を果たして何が残るっていうんだ!」

「ああ、そんなことですか…意外ですね。貴方ならば理解できると思うのですが…」

 七夜を滅ぼしたのは遠野…こう言いたいのだろう。

「俺はあんたとは違う。復讐なんて考えたこともない。ここは俺たちの居場所なんでね」

「ふふ、暗示で記憶を操作されているだけかもしれませんよ?都合のいい様に、自分達に敵意を向けないよう

に、とね」

「貴方は利用されている道化…その姿は滑稽を通り越して哀愁すら漂う…それにしても――」

「……そろそろ黙れよ…無意味なことで俺の大切な人たちを殺されるわけにはいかないからな」

「貴方こそ、いいかげんに無意味と言うのはやめなさい」

 この時、初めて観月から怒気という感情が視えた。

「大切な人たち、と言いましたね?ではその方々が何者かに理不尽な理由で殺されても貴方は復讐は無意味

なことだ、と笑って済ましますか? …覚悟のない人間が何を言う! 心構えがないのなら即刻ここから去った

ほうがいい。…まあ、失礼なことを言ったことは詫びましょう」

 観月が刀に手を伸ばすのと同時に志貴は七夜の短刀を抜き、秋葉も構える。

「あんたが秋葉を殺すというなら、俺は守るために戦う…」

「貴方は遠野の人間ではないので無視するつもりでしたが、仕方ありませんね」

 観月は真っ直ぐ立ったまま刀に手をかけているだけだが、志貴は視た…一瞬観月の前髪が浮くのを……

次の瞬間バチィ!という音とともに志貴の眼鏡が弾き飛ばされた。

「な…」

「次は当てますよ」

 志貴は何が起こったのかわからなかった。

 (なんだ?何が……ぐっ!!)

 眼鏡を弾かれたことにより、視界に『死』が広がる…

「兄さん!来ますよ!!」

 秋葉の声に我に返る。

 (落ち着け。集中しろ…そして、視切れッ!!)

 視えない…が、解かる!

「秋葉!右に跳べえッ!」

 秋葉は志貴の声にすばやく反応し、回避する。元いた場所を風を裂くような音が駆け抜ける

「ほお、まさか二発目で見切られるとは思いませんでしたよ」

 だが、言葉とは裏腹に余裕は消えない。

「続けていきます」

 ビュン! という音が連続で聞こえる。志貴は七夜の警告に従い避ける。秋葉は檻髪を僅かに展開させ触覚

のようなものだろうか? そこから感じる情報で避け続けていた。

 避けていく内に志貴はこの攻撃が何であるかの検討をつけた。

(相手は動いていない。そしてこの切り裂くような風圧…これは居合いから放たれる剣圧、カマイタチだ)

 高速の居合いから生じる衝撃波、それが正体だった。

「…その髪、貴女は我々の血を確かに、そして強く引いているようですね」

 観月は攻撃を繰り返しながらも秋葉に言葉をかける。

「見損なってもらっては困ります!いいかげんに…」

 秋葉は回避しながらも檻髪を放つ。不可視の一撃は観月を容赦なく略奪するだろう。

 観月はその様子を察知し、軽く跳ぶ。だが秋葉の狙いはそこだった。

「………隙だらけだ…」

 観月の背後を空中で取り、動きを止めるために脚を狙おうと線を視る…

「何ッ!?線が…」

「隙だらけなのはそちらでしょう…」

 志貴の動きが一瞬止まったのを見逃さずに左手に持った刀を鞘に納めたまま背後に突き出す。

「しまった!」

 志貴は体を捻りやり過ごすが、追撃の機会を逃してしまう。

 両者は着地し、同時に距離を空ける。

「兄さん!何故動きを止めるんです!?」

 秋葉の怒りはもっとも。だが、志貴は視た…

「あいつの脚の線は確かに視えた…けど、次の瞬間に線が動いたんだよ…」

 志貴は信じられないようなモノを視た顔をして語る。それはそうだろう、死とは不変のもの…それが勝手に動

いたのだから…

「危なかったな…貴様に背後を取られることは死につながるということを…オレが無意識に鬼眼を使うとはな」

((鬼眼ッ!!))

 突然雰囲気の変わった観月にも驚いたが、鬼眼という言葉にも驚かされた…

 観月は紅く輝く眼をしている…おそらく鬼眼…

「容赦はしない…さあ、仕切りなおしだ」
















 鬼と殺人貴、そして紅姫は月下に舞う…

 鬼が見せた『鬼眼』

 この結末を知っているかのように月は静かに佇んでいる……








続く

 





                      生意気にもあとがき



 みなさん、こんにちわ。過ぎ去りし流星です。まずはここまで読んでいただきありがとうございます!

 さて、今回の話は場面が飛び飛びで、しかも状況説明が雑と思われます。

 自分なりに修正を繰り返しましたが、こころへんが限界でした…(汗)

 ヘタレですみません…



さて、いくつかの補足説明を…

 十夜観月――とおや みつき、と読みます。姿はプロローグで語った通りです。
      イメージはるろうに剣心の四ノ森蒼紫が近いです。

      名前の由来はラスターさんが見破ったように遠野の読み方を変えると「とおや」になるので

      私が遠野家にちなんだ名前にしようと思い命名。そこに一話での彼の一族での由来も付けたという
      わけです。

      設定の元ネタもFOULさんが見破った鬼○丸の設定ですね…まんまパクリじゃないですよ?…
      
      オマケですが、彼のスーツ姿は私が唯一持っている正装です…



鬼眼――これはオリジナルです!ええ、そうですとも!

    秋葉がや軋間が力を解放した姿を紅赤朱といいますが、鬼の一族が力を解放したとき、両目が紅くなる
    ことからこう呼ばれます。

    特に魔眼のような力はなく、鬼達個人(個鬼?)の能力を高めることが目的です。



『死』が動いた!?――これは志貴のナイフが煌めく瞬間に鬼眼を発動させたため、身体能力の向上に伴い…

          つまり、丈夫になったから『死』が減ったと思ってください。説明不足ですが、人間から鬼に変身
          するようなものですから、多少減るかな〜と…


 過ぎ去りし流星さまから頂きました、「夢幻の闇」第2話です。
 十夜の語る復讐の意義。志貴の語る復讐の無意味さ。どちらも正しく、
それゆえに決して交わる事のない二人の決意が、ついに刃を交える事と
なりました。

 鬼故の圧倒的な身体能力を駆使する十夜。この「敵」を前に、果たして
志貴達はどう立ち向かうのか。そして彼の心を救い上げる事が出来るの
か。非常に楽しみです。
 ではでは、過ぎ去りし流星さま、先を楽しみにしております〜w