「あ、絃斗! この馬鹿! スケベ! ド変態っ!」
 改めて面と向かいあったねーちゃんの第一声がそれだった。
 ……でも正直反論できない。
 ベッドの上でシーツを引き寄せて、猫が威嚇するようにフーフーと僕をにらみつけてる。そんなねーちゃんの視線の先で、僕は素っ裸で仁王立ちしてるのだから。
 いや正確には、させられてるんだけど。
「すごいね、絃斗君。ついさっきあんなに出したばっかりなのに」
 本当にびっくりしたような更紗さんの声が耳をくすぐる。いやそれはそれでとっても気持ちいいんだけど、気持ちいいから本当に困る。
 慣れた手つきであっさり僕を脱がせたみせた更紗さんは、そのまま後ろから僕のお腹に手を回して体をくっつけてくる。背中に感じる柔らかい物は、やっぱり何をどう考えても更紗さんのおっぱい以外ありえないし、分かっていてぐいぐいと彼女は押し付けてくる。
 そんな事をされれば、たとえねーちゃんの目の前だってやっぱり僕のモノは思いっきり反り上がってしまうわけで。
「恥ずかしくないのっ!? あたしの、ねーちゃんの目の前でそんな、お、お……」
「おちんちんおっきくして?」
 どもったねーちゃんの台詞を取った更紗さんの言葉に、一気に耳まで赤くしたねーちゃんは膝に顔を埋めてしまう。
 正直僕もそうしたい。もう顔どころか全身から火が出て燃え尽きて炭になりそうなくらい恥ずかしい。事もあろうに女の人に耳元でおちんちんだなんて言われるなんて。しかも節操なしに天井めがけてそそりあがってるし。
 もちろん隠したいのは山々なんだけど、僕の手の自由は回された更紗さんの手に奪われてしまってる。全力出せば振りほどけるはずなのに、なぜだかそれができなかった。
「ねえ、絃斗君?」
「ひゃあぅっ!?」
 耳の先に伝わった熱く濡れた感触に、思わず伸び上がった。
 更紗さんに、軽く噛まれたらしい。そんな事されたのも生まれて初めてだったけど。
「さっきと同じ事、また今して見せて?」
「へ、え、えと……?」
「してたでしょ? ドアの向こう側でオナニー。お姉ちゃんも今度はゆっくり見たいって」
「ちょ、えええええええっ!?」
「さ、更紗ぁぁぁぁぁっ!? あ、あああああああなた一体何を言って……」
 思わず叫んだ僕とねーちゃんの声が重なった。でも更紗さんは一向に気にする様子がない。
「見た事ないんでしょ? いい機会じゃない。お姉ちゃんのお願いを聞いてくれるなんて、本当にいい弟さんだと思うわよ」
「いや、だめ。やめてよ絃斗! ねーちゃんそんなの絶対見たくないんだから! というか更紗! いい加減ウチの弟からかうのも止めて……」
「でもさっきからずっと見てるよね、鈴歌。絃斗君のこの逞しいおちんちん」
 その通りだった。
 顔を真っ赤にして手や膝で隠しながら、でも隙間からしっかりねーちゃんてば僕のソコを見続けてる。
 そりゃあ、姉弟だし昔は一緒に風呂に入ったりしたけど。だけど中学になった頃からはそんな風習からも卒業して久しかったわけで。
 僕がねーちゃんの裸を見たのがずいぶん久しぶりだった用に、ねーちゃんも僕の裸を見たのは久しぶりだった筈なのだ。筈なのだけどその視線はものすごく恥ずかしい。
「み、見てないわよ! 勝手な事言わないで、更紗っ!」
「ねえ、してくれないの絃斗君?」
 顔を赤らめたままわめくねーちゃんの事を無視するように、更紗さんはまた僕に向かって囁きかけてくる。
「簡単でしょ? 右手でつかんでシコシコって擦るだけ。私たちがするより手間も時間もかからないじゃない?」
「そ、そういう問題じゃなくて! 無理ですから! さすがに無理ですって! ねーちゃんの本当に真ん前でなんてそんな事!」
「でも、さっきはしてたでしょ?」
「そ、それは……ひぁっ!?」
 また耳の中に息を吹きかけられた。こそばゆいだけじゃなくて、熱い。背中に当たる更紗さんのおっぱいの感触も、だんだん熱く湿っぽくなってきている。こうしている更紗さん自身も興奮してるんだろうか。
「残念ね。それじゃ代わりに教えてちょうだい」
「な……何をです、か?」
「さっきの覗き、いったいどこで一番興奮した?」
「ぶっ!?」
 続けざまの爆弾投下に、思わず吹き出した。
 無理です。
 もう無理です。
 穴掘ってでも入らせてくださいお願いします。
 まさか更紗さんがこんなに色んな意味で容赦のない人だったなんて! 憧れの先輩の違う一面がこんな時にこんな形で分かったって、全然嬉しくないんだけどさ!
「鈴歌にキスしてる私? おっぱい揉みしだかれて蕩けてる鈴歌? お互いに舌を絡めあって、口元びしょびしょにしながらキスしてる私たち?」
「ひゃ、あっ!」
 更紗さんの腕に力がこもって、柔らかい拘束がきつくなる。細くて滑らかな指が僕の太ももの上を踊る。こそばゆさに身悶えたら、肩に重みを感じた。更紗さんが顎を乗せているらしい。
「お姉ちゃんが私にクリトリスやヴァギナをいじられて感じてる姿に興奮した? もっと卑猥に、おまんこトロトロにしながら泣いてたって言った方が絃斗君は興奮してくれるのかしら?」
「その、それは……、その……」
「さ、ささ更紗! ああああ、あたしが恥ずかしくなるから止めなさい! あ、絃斗もそんなの答えなくていいんだからねっ!」
 ついに耐えかねたねーちゃんが、ベッドの上を転がるようにして僕の前まで這い寄ってくる。でもどうにも腰に力が入らなくて立ち上がれないらしくて、お尻丸出しでベッドにうつ伏せて、僕らをきつい目で見上げてる。それを見た更紗さんの頭が揺れるのが肩に伝わってきた。
「ね、ねーちゃんも落ち着いてよ! こんなの答えられないし、その、見えるから色々!」
「恥ずかしがりやさんね。なら、当ててあげる」
 更紗さんの指がまた移動を始めた。僕の膝に近いところから、だんだん太ももの付け根へ。言い訳の聞かないくらいガチンガチンに勃起してる、僕のモノに当たりそうなくらい側まで。
「お姉ちゃんが私の指を美味しそうに舐めてる所でしょう?」
「……っ!」
 また耳たぶを軽く噛まれた。
 しかもそれだけじゃない。
 更紗さんの両手が、僕のモノを握り締めてる。根元から、先を包み込むようにして隙間なく。
 僕の手以外、誰も触れた事のないソノ場所を、更紗さんの手が容赦なく捕らえてる。
 ……いや小さい時のお風呂で散々ねーちゃんに弄ばれたけど、それはノーカウントかつノーコメントで。
 しかもただ握ってるだけじゃなくて、微妙に指先の力加減を変えて、更紗さんは僕を攻め立ててくる
「ふふ、ピクピクしてるわね、絃斗君のここ」
「ふぁ、あ、ぁぁ……更紗さん、止め……」
「ドアの後ろで想像してたでしょう? お姉ちゃんにフェラチオしてもらってるって。部屋に響き渡るくらいいやらしい音を立てながら、美味しそうにおしゃぶりしてもらってるって」
 指だけじゃなくて、耳からも攻めたてられる。ついさっき、まさに思い浮かべてしまっていた最低な想像を見透かされて、再生させられる。
「あ……絃斗。それ、本当なの……?」
「ちが……ねーちゃん、それは……」
 呆然とした声を上げるねーちゃんの顔を見る事ができない。恥ずかしくて、申し訳なくてきつく目を閉じるけど、そうすると思い浮かんでしまうのはさっきのねーちゃんの乱れた姿だった。
 僕は一体どうしちゃったんだよ。ねーちゃん相手にそんな事なんか、つい三十分前まで考えもしなかったのに。
 早く正気に戻らないと。なんとか、ここから逃げ出さないと。
 でもそうやって理性を呼び戻そうとする度に、後ろから引きずり戻されてしまう。
「違わないよね? だって、今もこんなに大きくして震えてるもの。絃斗君のおちんちん」
 更紗さんの左手が僕のモノから外れた。
 でもそれは開放してくれたわけじゃない。残った右手の親指と人差し指で輪を作って僕のモノを締め上げながら、ゆっくりと擦り上げてくる。
「ちょ、それは、更紗さん……それは、まずい、から……っ!」
 あわてて引き剥がそうとしたけれど、僕の右手はしっかり彼女の右腕に押さえつけられてるし、左手も同じ事だった。手と手を重ねあわせられて、そっと握られる。それだけでもう引き剥がせなくなってしまう。
 何より、更紗さんの右手の動きが圧倒的だった。
 自分でするのなんか比較にならない。ただ力任せに擦るんじゃなくて、僕が気持ち良くなる場所をなぜか的確に見透かしているように攻めてくるのだ。触れるか触れないかまでゆるくしたかと思えば、ぎゅっと痛くなる寸前まで力を込めてきたりする。先っぽの傘の根元を指先で擦ってきたり、ソノ裏の筋を何度も何度もなぞり上げてきたりする。その度ごとに腰から力が抜けて、震えてしまう。
「あ……あ、あ、まずい、だめ……」
「立ってられない? いいわよ、私に背中を預けて、膝立ちで」
 更紗さんに促されるまま、半ば腰砕けで僕は膝から床にへたり込んだ。
 茫とした視界の中で、ねーちゃんの顔が近い。
「ああ……絃斗、すごい……」
 怒る事も忘れたみたいに、ねーちゃんはただ更紗さんに弄ばれるままの僕の股間を見つめてる。時折漏れる熱い息が、おへその辺りをくすぐってくる。
 もう今起きている事が現実なのかどうかも良く分からない。ただ更紗さんの手が送り込んでくる快感だけが、今の僕の全てだった。
 でもそれだって終わりがある。
 根元のあたりがきゅう、と引き締められる。あの慣れた感覚が終点のお知らせだった。
「で……でる、出ちゃう……!」
「良いわよ? 沢山出して。私の手と……」
 更紗さんの手の動きが、一段と激しさを増した。
 そして。
「――お姉ちゃんの顔、どろどろの真っ白に汚してあげなさいな」
「……あうっ!?」
 甘いと息と一緒に吹き込まれたその言葉が、二度目の堤防崩落の合図になってしまった。
 熱いモノが駆け上って、そして吐き出される。さっきと代わらない位の勢いで吹き出した僕の精液が宙を舞って。
「ひ、やぁっ!?」
 すぐ側でそれをじっと見入っていたねーちゃんの顔に、盛大に降り注いだ。
 止める事も出来ないまま、目を丸くしたねーちゃんのまぶたに鼻先に、白いどろどろの塊をぶちまけてしまう。何度も何度も、まだこんなに入ってたのかと自分であきれ返るくらいの量で顔を汚してしまう。
 呆然とした顔で僕を見上げてるねーちゃんの顔を見て、ようやく僕は自分のした事に気づかされた。
 自分の精液を、女の人の顔にかける。
 ビデオでしか見た事のない行為を、僕は今実際にやってしまった。それも、実のねーちゃんに向かって。
「ね……ねーちゃん……その、これは……」
 罪悪感と、射精後の虚脱感に苛まれて、僕はぺたりと床に座り込んだ。フローリングの冷えた感触が尻に伝わってくる。背中に感じていたぬくもりはいつの間にか消えていた。気がつけば更紗さんはすぐ目の前のベッドの上、ねーちゃんの隣に腰を下ろしている。
「すごいわね、絃斗君。二回目とは思えないくらい、たっぷりと出して」
「更紗……あんた、どうして……これ、一体……?」
「鈴歌は見るの初めて? これが男の人の精液よ」
 ねーちゃんは肘を立てて何とか体を起こそうとする。言いたい事が沢山あるんだろうけど、何から言葉にしていいのかわからない感じだった。その肩に手を回して、更紗さんが助け起こして言う。
「凄い匂いでしょう? 嗅いでるだけでクラクラきちゃうでしょう?」
 二人の顔がとても近い。鼻先がくっつきそうになるほど寄せた更紗さんが舌を出して、ねーちゃんの鼻頭の白い塊を舐め取った。
「あぅっ!」
「ここにも……ん、ほら、こんなに……もったいないわ」
「あ、だめ、更紗……やめて……」
 制止の声など聞こえないかのように、更紗さんの舌がねーちゃんの顔を這い回っていく。その度に、あれだけ汚れていた場所が元の輝きを取り戻していく。ティッシュか何かを探して僕が拭くべきなのに、腰に根が生えたみたいに動けなかった。すぐ目の前で行われてる、この妖しくて、そして綺麗な行為に目が釘付けになってしまった。
 こくり、と喉を鳴らして。ねーちゃんの顔から舐め取った僕の精液を、更紗さんは全部飲み込む。眉を寄せて、目を閉じて。その表情が今までみた事がないくらいにいやらしくて、ひときわ強く僕の鼓動が高鳴った。
 僕の思ってる事などお見通しなのだろう、一度こちらに視線を送った更紗さんがくすりと笑って、言った。
「鈴歌も欲しい?」
「え……?」
「絃斗君がね、鈴歌の事を思って出したのよ? お姉ちゃんの事が大好きって、これはその思いの結晶なんだから」
 ねーちゃんの目の前に差し出した更紗さんの手も、やっぱりべっとりと僕の精液で汚れていた。
「そうよね? 絃斗君」
「ちょ、えぇぇぇっ!?」
 突然振られて慌てふためいた僕の視線の先では、ねーちゃんが胡乱な目でこちらを見つめてる。お酒に酔った時はこんな顔になるのかもしれないけど、今は素面でいて欲しいんだけど!
「そうなの、絃斗……?」
 ねーちゃんの手が僕の方に伸びてくる。
「あんた、あたしの事が好きなの?」
「そ、それは……その……」
 そりゃ嫌いじゃないけどさ!
 大切な家族だし、横暴だけど見た目も面倒見もいい、割と自慢のねーちゃんだと思うけど!
 でも今ここで求められてる質問の回答って、それじゃないよね間違いなく!?
「絃斗君、寂しかったんだよね? 私ばっかり鈴歌を可愛がってたから」
 にまにまと。そんな表現がぴったりな笑顔を浮かべて、ねーちゃんの耳元に更紗さんが囁く。ねーちゃんの右手が、僕の左肩というか首筋にがっちりと掛けられたのはそれが同時だった。
「……いいよ、絃斗」
「いや待ってねーちゃん」
「絃斗がそう思うなら、あたし……」
「落ち着けねーちゃん頼むから深呼吸して一緒に分数を数えよう!」
「その場合は素数じゃないかしら。それに鈴歌ももう止まれないでしょ?」
「お願いだから更紗さん茶々入れたり焚き付けるのきんしぃぃぃぃっ!?」
 そんな体勢のどこからこんな力がという勢いで、僕の体はねーちゃんに向かって引き寄せられた。
 目の前いっぱいにひろがるねーちゃんの顔は、耳元まで真っ赤だった。そんな中で目だけがどこか据わってるというか物凄い力が篭ってる。
「いいわね、絃斗?」
「いや何がだよ! てかもう止めようよ! ねーちゃんが好きなのは更紗さんなんだろ!? 覗いちゃったのは本当に悪かったから! 謝るから今ならまだ普通に今まで通りに……」
「……ねーちゃんの顔目掛けてあれだけ、その、せ、精液出しておいてよくも言うわねこの変態」
「う……」
 下半身と理性はまた別なんだって言いたいけれど、でも射精の瞬間はねーちゃんのあの顔が思い浮かんでいたのは事実だった。
「私なら大丈夫よ? 心は広いつもりだから」
 そして更紗さんの心温まらない援護射撃がどうやら背中を突き飛ばしたらしい。
「ねえちゃ……っ!?」
 開きかけた僕の声を遮って、慣れない圧迫感が押し寄せてくる。
 つつましいぬくもりが唇に伝わってくる。そして視界にはきつく目を閉じたねーちゃんの顔だけ。
 僕はキスをされている、らしい。実の姉に、本気で。
「んーっ!?」
 僕の唇を割って、温かくて柔らかい何かが滑り込んできた。それがねーちゃんの舌だと気づいて僕の体は強張ってしまう。本気でキスする時はそういうもんだって、聞いてたけど。ついさっき、ねーちゃんと更紗さんがしてるのも見たけど。でもまさか自分が今されるなんて思ってもいなかった。
 固まったままの僕の口の中を、じれったそうにねーちゃんの舌が這い回る。くすぐったいような、でも頭の奥のほうから溶かされていくような不思議な感覚に、おずおずと僕も舌を差し出して応える。どうしたらいいかなんてわからないから、ただ必死でねーちゃんの舌に絡めるようにしていく。
「っはぁっ!」
 どれだけそうしていたんだろうか。荒い息とともにねーちゃんの顔が離れていく。突き出たままの舌から一滴たれた唾液が、糸を引いて僕の膝に伝わり落ちた。不思議とそれが汚いとも嫌だとも思わない。ただ、名残惜しさだけを感じてしまう。
 実のねーちゃんとのキスだって言うのに、なんだかとても心が熱くなって、気持ちよかった。
「どう、なのよ?」
「え、と……」
「あんた、初めてだったのよね? ファーストキスの感想くらい、聞かせなさいよ! その、あ、あんな事したんだから……」
 最後の方は消え入りそうな声になりながら、ねーちゃんが僕の事を睨みつけてくる。
 裸で、お互いどうしようもなくいやらしい姿を見たり見られたりしてるこの状態で、それでも今、自分からしたキスの恥ずかしさがこみ上げてきたらしい。
 それがなんだか不思議な気がして、思わず吹き出しそうになった。
「な、何よあや……っ!」
 そんな僕の顔を見てまた声を上げそうになったから、ねーちゃんのその唇にそっとキスした。
 二度目のキスでも、やっぱりその唇は柔らかくて、温かかった。
 いいや。
 今、弟として一番ダメな選択しちゃった気がするけど、もういいや。
「ねーちゃん……僕、もっとしたい」
 顔を離して、ねーちゃんの眼を見て、きっぱりと言った。
「絃斗……」
「こんな事言うと怒られそうだけど、今のねーちゃん、とっても可愛いから」
 言った事は本心そのもの。
 ベッドに腰掛けて、ちらちらと僕の顔と自分の胸の辺りに視線をさまよわせるねーちゃんは、なんだか年より幼く見えてとても可愛い。そして、同じくらい綺麗だった。
「もっと可愛いねーちゃんが、沢山見たい」
 僕は手を伸ばして、ねーちゃんの背中に回した。抵抗も反論もなかった。ねーちゃんは目を閉じてそっと力を抜いて、僕の腕には内側と外側から温もりが伝わってくる。
 ――外側?
「そうね、可愛い鈴歌の姿、もっと沢山見てもらわないとね」
 落ち着いた、でも笑いを隠してない声が聞こえる。たぶん契約を迫る悪魔ってこんな声をしてる気がする。
 ねーちゃんの体を引き寄せる事が出来ない。代わりに僕の両腕はねーちゃんの思ったより柔らかい背中の感触と、もっと柔らかいぷにぷにした感触に挟まれてる。
「ちょ、ちょっと更紗っ!?」
「な、何してるんですか更紗さん!」
 いつの間にか後ろに回っていた更紗さんが腕を伸ばして、ねーちゃんの体を抱きしめてる。
「ん、二人の初々しい姿を見てるのも楽しいんだけどね。私も少しは楽しみたいじゃない?」
「いや、そこはその、どうかと思うんですけどっ!」
「ちょ、ちょっと更紗、どこを触って……はぅっ!」
 あきれ返るような早業だった。後ろから回された更紗さんの手が、遠慮なくねーちゃんの胸を揉みしだいてる。今更だけど女同士だと言うのを忘れるくらいに、更紗さんの手の動きは大胆だった。
 手に余るくらい大きな二つのふくらみに沈んだ指が、まるで楽器を奏でるみたいに攻め立ててる。ぷっくり勃ち上がった乳首をつまんだりこね回したり、その度にねーちゃんが甘い声を上げる。
「あぅ、ダメ……ダメだって、更紗……止めて……!」
「そんなお願いは聞いてあげない。だって、絃斗君にキスしてる時、私の事を忘れてたでしょう?」
「それは……そんな事な、あっ!」
「それに、見て、絃斗君のアソコ」
 僕にしてたみたいに、ねーちゃんの耳たぶを甘噛みながら更紗さんが囁く。その視線と、そして遅れて届くねーちゃんの視線に僕も釣られてそこに目をやって。
 ……うわぁ。
 立て続けに二回も出したってのに、僕のそこはもう半ば勃ちあがっていた。
 でも仕方ないと思うんだ。さっきは扉の影からだったけど、今は目の前でねーちゃんと更紗さんが絡み合ってるんだモノ。
 何度も言うけど、更紗さんは信じられないくらい美人なのだ。でも今の僕にはねーちゃんだってそれに負けない……は言い過ぎだけど、立ち向かえるくらいには綺麗で可愛いわけで。そんなねーちゃんが更紗さんの指使いで蕩けていくのを見るのは刺激が強すぎる。
 息するのも忘れそうなくらい、見入ってしまっていた。すると更紗さんの手が執拗に攻め立てていたねーちゃんの胸から離れていく。でもそれは開放の合図と言うわけではないみたいで、お腹から下へと滑り落ちていきってうわぁっ!?
「ほら、もっと絃斗君のおちんちんに元気になってもらわないと」
「いや、いやぁっ! 更紗、止めて! 絃斗の前でこんな格好……っ!」
 更紗さんの手がねーちゃんの両の太股に掛かって、そしてそれをゆっくりと開いていった。M字じゃないけど開脚と言うか、大股開きというか、そんなあられもない格好が今僕の目の前に広がってる。
 広がってるのだ。
 更紗さんに比べると、少し毛深くて長い下の毛のそのちょっと下。淡いピンク色した割れ目がひくひくと震えてる。きらきらと光って見えてるのは、濡れてるからなんだろう。
 こんな近くで、初めて見た。しかもそれがねーちゃんのモノだなんて。
「どう、絃斗君? 女の子のここをしっかり見るのは初めてかしら?」
「うん……初めて、です」
 喉がからっからに渇いてるから、掠れた情けない声しか出てこない。目は包み隠さずさらされたねーちゃんのアソコに釘付けだった。
「だめ、止めて! 絃斗見ないで! 更紗も放してぇっ!」
「絃斗君に愛してもらいたかったんでしょう? しっかり勉強させてあげるのも姉の務めじゃないかしら?」
「だからってっ! だからってこんな形でいきなりとかいやあっ! 恥ずかしすぎるわよぉ……」
「でも感じてるんでしょう? だってこんなにぐしょぐしょじゃない」
「はうっ!」
 更紗さんの指が割れ目の外側をなぞり上げた。それだけで、ねーちゃんは弓反りになって体を震わせる。
「よく見て、絃斗君」
 更紗さんの指が妖しく蠢いて、ねーちゃんの奥底を開いていく。唇とか貝とか言われたりするその場所の中は、見た事のないくらい鮮やかなピンク色をしていた。
「ここがね、おしっこの出る穴。この辺もいじってあげると鈴歌は喜ぶんだけど、絃斗君の興味のあるのはこっちかしらね?」
「言わないで、更紗……もう死んじゃう、ふぅっ!」
「ふふ、ここよ。ここが絃斗君のそのカチコチのおちんちん入れる所」
「くぅ、あぅ……ダメ、ダメだって、さらさ……」
 本当に恥ずかしいんだろう、ねーちゃんはいやいやと首を振りながら、僕の顔を見ようとしない。でもそんな様子に構うことなく、更紗さんは指を止めない。
 人差し指と薬指で開いたねーちゃんのアソコの中に、更紗さんの中指が潜り込んでいく。第二関節の辺りまで入れ込んだかと思うと小刻みに中で震わせて、そして爪先の辺りまで引き抜く。その度にねーちゃんは腰を悶えさせている。ちゅぽちゅぽという音が指の動きに合わせて聞こえてくるのが、エロさに拍車をかけている。
「ふふ、絃斗君たらそんなに顔を近づけて見ちゃって」
 更紗さんの声が上から降ってくる。言われたとおりだった。今僕の目の前に広がってるのはねーちゃんのアソコだけ。気づいたら、僕はこんなに側に寄ってねーちゃんを見ていた。
「エッチなおつゆをこんなにだらだら漏らしてる、いやらしいお姉ちゃんのおまんこ真直で見るのってどんな気持ち?」
「とても、綺麗です。ねーちゃんの、不思議な感じ……」
 掠れた声でそう答えた。
 友達が口にするとアホっぽく感じるだけなのに、更紗さんのような人が「おまんこ」だなんて口にするのを聴くと、それだけで恥ずかしくて、ゾクゾクする。僕だけじゃなくてねーちゃんの方が恥ずかしくて死にそうになってるんだと思うけど。
 よくよく見ればグロい形をしてる気がする。本当に、開いた二枚貝の中身というか、「内臓」だという事を意識させる色と形だと思う。でも、あのねーちゃんが一番恥ずかしい所を僕に見せてるんだと思うと、それだけで興奮して、嬉しくなってしまう。
 鼻先をくすぐる匂いは、風呂上りの石鹸のとも部活帰りの汗臭さとも違う。今まで嗅いだ事がなかった匂いだけど、でも全然嫌じゃない。
 てらてらと光ってるのは、ねーちゃんがずっと感じ続けてるから。太ももの付け根どころか、シーツにまでたれて大きな染みを作ってる。弄り回している更紗さんの手首まで、もうぐっしょりだった。
 それを見て、ふと思った。
 いくらなんでも、ねーちゃん濡れすぎじゃないのかこれは。
「更紗さんも……」
「ん?」
「更紗さんも、その、ねーちゃんみたいにこんなになるの?」
「あ……ああああ絃斗っ!? あんた、あんたいきなり何をっ!」
「ええ、そうね」
 裏返った悲鳴のような声を上げたねーちゃんを遮って、更紗さんが答えてくれた。上目遣いで見上げたら、あの微笑で迎えてくれる。
「こんなに可愛い鈴歌や絃斗君と楽しんでるんだもの、私だって、恥ずかしいくらいに感じてるわ」
 さっき見てしまった更紗さんのソコを思い出して、心臓がどくりと高鳴った。あの時よりすごくなっているんだろうか。今のねーちゃんと同じみたいに。
「本当にえっちね、そんな事を聞くなんて」
「その、すいません……」
「気になるならちゃんと後で見せてあげるけど……」
 そう言って更紗さんの中指が、ねーちゃんの中から引き抜かれた。ぬめって光る指先から、細い糸が一瞬つながり、切れる。そのまま中指で外側のひだの周りをなぞり上げて、上側の付け根にある、ぷくりと膨らんだ肉の塊をつついた。
「でもね、今はしっかり鈴歌を見てあげてちょうだい」
「ひぁっ! あ、あああ……そこ、だめ、だめぇっ!」
 ねーちゃんの声が一オクターブ跳ね上がった。更紗さんの指が、くりくりとソコを転がす度に、ねーちゃんの体が反り返る。
「鈴歌はね、クリトリスが一番感じるのよ。絃斗君のおちんちんと一緒。感じて、切なくてこんなに大きく勃っちゃってるの」
 そう言って、薄くかむっていた皮をめくり上げると、ソコは真っ赤に充血して震えていた。
「触ってみる?」
「え?」
「お姉ちゃん、とっても喜ぶわよ?」
 更紗さんが指の動きを止めて、言った。
 目の前には赤くほころんだねーちゃんのアソコが広がってる。触るなんてまどろっこしい事をしないで、もう何も考えずにソコに入れてしまいたい。
 それをぐっとこらえて、ねーちゃんの顔をもう一度見た。
「や、やあああ、ダメ! だめよ絃斗ぉ! 今あんたに触られたら、あたしっ!」
 ねーちゃんがいやいやと首を振る。
 汗で額にぺっとりと髪が張り付いている。潤んだ目の端には涙を浮かべてる。
 でも、逃げ出そうとはしていない。
 自分より華奢な更紗さんにゆるく抱きしめられてるだけだから、本当に嫌ならいくらでも振りほどける筈なのに。でも耳の先まで真っ赤になって、死ぬほど恥ずかしそうにしながら更紗さんの腕の中に納まっている。
 逃げ出そうとしないのは、本当はもっとしてほしいからなんだって、分かる。
 さっきの僕みたいに。
 もっと、もっと気持ちよくしてもらいたいんだ。
 ビデオで見た一場面が頭の中に浮かぶ。これをするのは恥ずかしい事だって分かるし、そもそもうまく出来るかわからない。でもきっとこれをされれば、ねーちゃんはもっと恥ずかしがって、可愛くなるんじゃないだろうか。そんな思いに背中を押されて、僕はゆっくりと顔を寄せていく。
「ひっ!? あぁぁぁっ!? あ、あやとぉっ!」
「あらあら。絃斗君、すごいわね」
 ねーちゃんの悲鳴と、更紗さんの驚いた声が聞こえる。
 鼻先と口元がゆるゆると熱い。興奮して顔中火が出そうな僕よりもなおソコは熱かった。むわっとした女のにおいが、胸の中一杯に広がっていく。
 唇よりも柔らかくて、熱い。ねーちゃんのアソコにキスした感想はそれだった。
 すっぱいような変な味が口の中に広がる。さっきのキスでねーちゃんに流し込まれた唾液の方が甘くて美味しかったけど、でもこれはねーちゃんが気持ちよくなってる証拠なのだ。
「ダメ、ダメ、だめだめだめっ! 絃斗、あやと、そんな事! そんな事しちゃいやぁっ!」
 腰を引いて逃げようとするねーちゃんにしがみついて、僕はよりいっそう激しく舌で舐めまわす。どうしたらよいのかなんて良くわからないけど、ただねーちゃんにもっと感じてもらいたいから、一生懸命舌を動かした。
「ソコもいいけど、さっきも言ったでしょう? ここを唇で噛まれるのが、鈴歌は大好きなのよ」
 手探りだった僕を更紗さんの声が、導いてくれる。どろどろでぼやけた視界の中で、白い更紗さんの指が指し示したソコは前にも増して赤く勃起していた。
 とてもデリケートな部分だというのは分かるから、本当に気をつけて、力が入り過ぎないように。
 唇の先で軽く押しつぶすような感じで甘噛んでみた。
「ひいっ!?」
 悲鳴とともにものすごい勢いで脇の辺りを押さえつけられた。だらりとベッドの縁から投げ出されていたねーちゃんの足で挟みこまれたみたいだ。恥ずかしく手足を閉じたいけど、僕がいるから出来ないのか。もっとしてほしくて逃がしたくないのか。どっちでもいいや。
 唇で噛む強さを変えてみると、それだけでねーちゃんは声を出すのも忘れて体をわななかせてる。
「上手よ、絃斗君……ん、ちゅ……」
 もとい、どうやら声が出ないのは、更紗さんにふさがれてるからみたいだった。
 涙を流しながら手を固く握り締めてるねーちゃんは、でも決して僕や更紗さんを振りほどこうとはしない。
 感じてるんだ。
 気持ちよくなってくれてるんだ。
 嬉しくなってそのまま唇で挟んだクリトリスを、舌の先で突っついてみる。
「いや、ああぁぁぁぁっ!」
 裏返った悲鳴が糸を引いて、僕を挟んだねーちゃんの太股が震えてる。投げ出されていた手が僕の腕をぎゅっと掴んで痛かったけど、それどころじゃなかった。
 後から後から汁があふれ出してきて止まらない。びっくりして顔を上げると、更紗さんに抱きしめられてるねーちゃんが、胸に顔をうずめてぐったりしていた。
「イったみたいね。どう、絃斗君? お姉ちゃんの顔」
 更紗さんに言われて、改めてしっかりとねーちゃんのその顔を眺めてみる。荒い息をついて、薄く開いた目の端から、真っ赤に染まった頬を涙が伝わり落ちてる。
「ねーちゃん、すっげえエッチな顔してる……」
「絃斗君がこういう顔にしたのよ? どうかしら?」
「……可愛いです。その、ねーちゃんじゃないみたい」
「そういう絃斗君も、とっても可愛い顔してるわ。もっとも、今はちょっと鈴歌のせいですごい事になっちゃってるけど」
 言われて気づいた。僕の顔もべたべたしてる。一体どうなっちゃってるのか鏡を見るのも怖いけど、でも始めてねーちゃんに勝利した勲章だと思う。
 そうなのだ。僕は初めてねーちゃんに勝ったのだ! こんな無防備な姿を晒させた時点で僕は勝ち誇ってもいい筈だ! でもその満足感に水を差すくらいに、股間のモノが張り詰めて痛いんだけど。
 更紗さんの裸とかねーちゃんの裸とかずっと目にしてるわけで、しかもねーちゃんを気持ちよくしようと頑張ってたらもう限界ぎりぎりまできてしまった気がする。立て続けに二回も出したのに、そんな事関係ないくらいに勃ちっぱなし。ちょっとでも自分で擦ればもう出してしまいそうなくらいにヤバイ。
 ……ねーちゃんのアソコ舐めててこんなになるなんて、僕は本気でダメなんじゃないのか。勝利の余韻がどんどんしぼんでいくけど、モノはまったく収まりがつかない。
 どうしよう。シたい。
 ねーちゃんとセックス、シたい。
 というかこの状況でしないまま、最悪自分でとかどんな羞恥プレイとか思う。思うけど! さすがに、その、ねーちゃんと最後までしてしまうのはまずい気がするし更紗さんにお願いするなんて事もできないしそもそもねーちゃんぐったりしきっててそれどころじゃ……あれ?
 気づけばねーちゃんの足が、しっかりと僕の腰に巻きついている。
「あーやーとー……!」
 地獄の底から響いてくるような不吉な声。
 更紗さんから離れたねーちゃんが、じっと僕を睨みつける。
「よくも……よくもやってくれたわね……!」
「いやっ! そのっ!」
 回れ右して逃げ出したいけど、閂のように絡んだねーちゃんの足がそれをさせてくれない。肩にがしっと手が掛かって、そのまま僕はねーちゃんに向かって引き寄せられた。
 もふっ。そんな感触で僕の顔が柔らかいクッションに包まれる。人肌の温もりが、ねーちゃんのおっぱいだと正体を伝えてくれる。
「あんな恥ずかしい顔……更紗にしか見られた事なかったのに……あんたに、しかもあんなとこ舐められてイカされるなんて……!」
「最高だったんでしょ? 弟さんにしてもらって」
「そうよ、これ以上ないくらい気持ちよかったわよっ! 何してくれるのよ絃斗っ!」
 怒ってるのか感謝してるのかどっちなのさっ! そう叫びたかったけど僕の顔は柔らかすぎる拘束のせいで息をすることもままならない。
「ちょ……ねーちゃん……くるしいっ……!」
「この変態っ! ばかっ! あたしにあんな事した以上、覚悟できてるんでしょうねっ!」
「だから……息……ごめん……!」
 顔をうずめるとかじゃなくて、溺れそう。ねーちゃんおっぱい大きすぎる。そんな死に方最高だとか一瞬頭を掠めたけど、多分それ僕だまされてるから。
 てか本当無理。苦しい。死ヌ。
「鈴歌……絃斗君、苦しそうだけど?」
「えっ!?」
 更紗さんの言葉でようやく我に返ったねーちゃんが、拘束を解いてくれた。咳き込みながら必死で肺に酸素を送り込む。
「ねーちゃん……ひどっ……おおっ!?」
 睨みつけた僕の股間を、また生暖かい感触が包む。
「こんなに、こんなに大きくしてっ! しかも先っぽぬるぬるじゃない! 一体何のつもりっ!」
「いや待ってねーちゃん強いきつい痛いいたいっ!」
 更紗さんのとは違う力任せの握りっぷりが本気で痛い。でも限界寸前の僕のモノは、それすらも快感だと勘違いしかけてる。
「そんなの我慢しなさいよっ! あたしだってこの後すぐに痛くなるらしいんだからっ!」
「意味分からないからっ! てか、まずい、出ちゃうっ!」
 いつも自分でしちゃってる時は、こんなに我慢した事なんかないのだ。もう風が吹いてもだめだって位敏感なところに、ねーちゃんに握り締められればそれはもう無理。
「くうっ!?」
「ひゃっ!?」
 僕のうめき声とねーちゃんの叫び声が重なって、そして三度目の射精がねーちゃんの手やお腹を汚して回る。おまけに顔も。
「…………ごめん」
 これは本当に僕が悪いのか分からないけど、でも、そう言わずにいられない。
 またねーちゃんにぶっ掛けてしまった。
「絃斗君、底なしだったのねぇ。まったく濃さも量も匂いも変わってないわ。すごいすごい」
「ごめん更紗さん、褒められても嬉しくない……」
 ねーちゃんは呆然として、僕らの会話を聞いている。鼻先から唇に向かって滴り落ちていく精液が、自分でした事ながらいやらしすぎて困る。
「…………絃斗」
「うわっ!」
 つぶやいたねーちゃんが、そのままゆっくりとベッドに仰向けに寝転んだ。僕の太股に巻きついていた足が外れて、軽く大の字に開かれている。
 ねーちゃんがまったくの無防備で、全部を晒してる。
「……して」
「え?」
 ねーちゃんの右手が、ゆっくりと自分の股間に伸びていく。更紗さんにされていたみたいに、自分の指でゆっくりとアソコの割れ目を開いてく。
「あたしと、しよう? もう無理だから。我慢とか、できそうにないから。して」
 左手で目元を覆って、途切れ途切れの声で、ねーちゃんが呟いてる。
「あんたに舐めてもらった時、今までで一番気持ちよかったから……でももう、それじゃ満足できないから。あたしの初めて、あんたがもらって」
 は、初めてってっ!?
 思わず更紗さんの顔を見たら、彼女は苦笑を浮かべて、
「まあ、男の子相手は初めての筈よ。私も更紗の処女膜は傷つけないようにしてたから」
「……や、でもっ!?」
 姉弟だとか、僕でいいのかだとか。この期に及んでもそういう考えが頭を掠めてしまう。
 ここまでしといて今更何を言ってるんだ僕という気もあるけど。
 あるけど。
 ねーちゃんは大事なねーちゃんだから。そのねーちゃんの大事な、その……初めてを、弟の僕が奪ってしまっていいのか。
「ねーちゃん……その……」
「うるさいっ! 恥ずかしいんだから、最後まで言わせないでっ!」
 左手をどかして真っ赤に潤んだ目で、ねーちゃんが僕を見つめて叫んだ。
「絃斗が欲しいのっ! 姉弟とかそういうの関係ない! あんたが可愛いから、あんたとしたいのよっ!」
 そういって、ねーちゃんが左手を伸ばしてきた。震える右手で、僕はゆっくりと指を絡める。
 今日もう三回出したのに。今さっき出したばかりなのに。僕のモノは硬く勃ち上がったままだった。
 収まりどころを探して、プルプルと震えてしまう。ねーちゃんは目を閉じて、広がる目一杯までソコをほころばせて僕のモノを迎え入れようとしてる。そんな姿を見て、少しだけ残ってたわだかまりもどこか遠くへ飛んでいった。
 ねーちゃんにのしかかって、キスした。まだ顔に残ってた僕の精液が鼻についたけど自業自得だしそんなの気にならなかった。
「ねーちゃん」
「あ……あやとぉっ!」
 そのままねーちゃんの中目掛けて腰を動かすけど、上手くいかない。汁があふれすぎてて、滑って上手く入ってくれない。
「この……アレ……」
「絃斗、ダメ、じらさないでぇ……!」
 切なげな声に耳をくすぐられるけど、焦らしてるわけじゃなくて本気で上手く入ってくれないわけで。僕も泣きそうなくらい切ないんだけど。
「無理だと思うわよ、それじゃ。慣れてないんだから……」
 助け舟は横から現れた。
「鈴歌。ちょっと我慢して、うつ伏せになってお尻突き出しなさい」
「え、いや、更紗。後ろからなんてぇ……」
「あなた下つき気味だし。その方が上手くいくと思うけど?」
 そういって更紗さんはねーちゃんの手を取る。ためらうように何度も僕と鈴歌さんの顔を見ていたねーちゃんだったけど、やがてゆっくりと僕に背中を向けて、ベッドにうつぶせになった。
 うわあ。
 ひざを折ってお尻を持ち上げてるから、ねーちゃんのアソコどころかお尻の穴まで見えてしまう。普段絶対に見えない所が、荒い息遣いにあわせてひくついている。
「鈴歌の腰に手をかけて、ね。絃斗君も自分のをしっかり持って。最初はその方が上手くいくわよ」
 更紗さんに言われるまでもなかった。とろとろと汁を垂れ流し続けるねーちゃんのソコに、僕の先っぽを合わせる。
「ねーちゃん、いくよ……!」
「お願い、絃斗ぉ……ひうっ!」
 最後まで聞くだけの余裕もなく、僕はねーちゃんの中に突きこんだ。
 熱くて、狭い。まだ先が入っただけなのに、ねーちゃんのソコは僕のモノを押し返そうとするかのように締め付けてくる。
 自分でしてたのなんか問題外だった。
 さっき更紗さんの手でされたときも気持ちよかったけど、ねーちゃんの中はそれとも比較にならなかった。隙間なく包まれている僕の物が、まるで溶け合って交じり合ったよう。腰から下が言う事を聞かなくなってしまったみたいだった。
「あぅ、絃斗、痛い……! ゆっくりっ! お願い……!」
 ねーちゃんの悲鳴が耳を焼く。初めては本当に痛いって、目の当たりにしてしまって気持ちが萎えかける。なのに腰はずんずんと、ねーちゃんの中に潜り込みたがる。少しだけ勢いを弱めようと、荒い息をつきながらしがみつくのが精一杯だった。
 投げ出されていたねーちゃんの手に指を絡めると、すぐに強く握り返される。後ろからだから、顔がよく見えない。僕の背が小さいのが、今は本当に恨めしい。だからうっすらと汗のにじんだ背中に吸い付いた。
 モノの先にわずかな抵抗を感じて、それがねーちゃんの初めての証なんだって思う。ゆっくりと、せめて少しでも痛みが和らぐように、できる限り腰に力をこめて、暴走しそうになるのをこらえる。
「ひぅ……!」
 ねーちゃんのくぐもった声が聞こえる。ベッドに顔を押し付けて、シーツを噛んで激痛をこらえてる。
「ねーちゃん、ごめん……痛くして……でもっ!」
 突き上げられたお尻に、僕の腰が密着した。ねーちゃんの中に、全部納まったのだ。
「くぅ、ん、入った……の? 絃斗の……全部……?」
「入った、ねーちゃんの中に、僕の……ねーちゃんの全部、感じてる……」
 きゅうきゅうと隙間なく締め付けられる僕のモノは、もうそれだけで達してしまいそうだった。ねーちゃんの全部を感じてるんだという事実が、止めようもなく嬉しい。
 唇には届かないから、首筋や背中に何度も何度もキスをする。悲鳴のようだったねーちゃんの吐息が、それで段々と和らいでくのが分かった。
「動かすよ、ねーちゃん……?」
「いいよ、絃斗、動いて……痛いの、我慢できそうだから」
 ねーちゃんの声に突き動かされて、ゆっくりと腰を動かした。真ん中くらいまで抜いて、またゆっくりとねーちゃんの奥深くまで。自分ではそのつもりだったけど、実際はほとんど動いてないかもしれない。それくらい、ねーちゃんが気持ちよかったから。
 直前にあれだけ抜かれてなければ、もうねーちゃんの中に出しちゃってたかもしれない。ねちょねちょと、僕のものでかき混ぜられるねーちゃんの音がものすごく生々しい。腰を動かすたびにねーちゃんの口から漏れる吐息とあわせて、耳から犯されてるみたいだった。
「ねーちゃん、どう、なの……僕、気持ちいいから……もっと……」
「いいよ、絃斗。すごく……熱い。感じる、から……ひぃっ!」
 後ろから手を回して、ねーちゃんのおっぱいを揉みしだいた。何とか我慢してるけど、あんまり腰を動かしたらすぐにイってしまいそう。まだ、ねーちゃんを感じていたかった。
 指に吸い付くように柔らかいおっぱいは、僕の手に遥かに余る。陸上をやる時は邪魔だって言ってたけど、それも分かる気がする。てっぺんの乳首はこりこりに固くなっていて、指先で転がすたびにねーちゃんの声が跳ね上がった。
「やあ、そこ、だめ…………!」
「ダメってのは、もっとしてって事だよね、ねーちゃん」
「くう、そんな! 深い、絃斗、は、激しいよ……!」
 素直じゃないおねだりに突き動かされて、指で、唇で、そして僕自身でねーちゃんを掘り進んでいく。ねーちゃんが女の子だって、全力で感じてる。
「ねーちゃん、可愛い……顔、見せて」
 そんなおねだりに意外な言葉が返ってきた。
「それは、くんっ! わ、私に譲って欲しいな、絃斗君……!」
「えっ……さ、更紗さん!?」
 ぼうっとした頭でねーちゃんしか見えていなかった。霞がかったもやが少し晴れていくと、ねーちゃんの顔のすぐ前に更紗さんが腰を下ろしているのに気がついた。
 さっきのねーちゃんなんてもんじゃない。壁に背中を預けて、更紗さんは開ける限界まで太股を開いてる。濡れそぼったアソコには右手の指が三本も入って、激しく動いてる。左手は、形のいいおっぱいを揉み、乳首をつまみあげていた。下の毛が張り付くくらいにぐっしょり滴った汁で手首まで汚して、薄く開いた唇の端まで唾液で少し濡れている。
真っ赤に染まった頬と、潤んだ眼鏡の奥の目が、更紗さんが興奮しきってるって伝えてた。
「すごいでしょ……? あなたたちの姿を見てたらもう止まらなくなっちゃって……」
「更紗ぁ……?」
 胡乱な声を上げたねーちゃんに向かって、右手を止めた更紗さんが腰を寄せた。
「して……鈴歌。私にも、おすそ分け……」
 ねーちゃんが息を呑むのが伝わってきた。きゅう、と一際強く僕の物が締め付けられる。
 一瞬戸惑っていたみたいだったけど、でもすぐにねーちゃんはゆっくりと頭を動かした。
「ふぅっ! 鈴歌、いきなり、深いわっ!」
 ぴちゃぴちゃと、大きな音が更紗さんの腰から響き始める。猫がミルクを飲むような音を立てて、ねーちゃんが鈴歌さんのアソコを舐めている。
 僕に見せるのとは違う、従順で聞き分けのいいねーちゃん。僕に腰を突かれながら、違う顔を見せて更紗さんを気持ちよくさせている。



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イラスト:エンジェルダスト




「そう、ソコもよ……もっと、もっと激しくっ!」
「ねーちゃん、もっと、僕が、もっと……!」
 おっぱいを揉む手をとめて、僕は一際強く腰を動かした。その動きに合わせるように、更紗さんも小刻みに腰を動かしてねーちゃんを刺激する。
 自分が気持ちよくなるだけじゃなくて、ねーちゃんの気持ちまで煽ってる。僕の知らないねーちゃんを知り尽くしてる更紗さんが悔しくて、羨ましい。でも、ねーちゃんの中を埋め尽くせるのは僕しかいない。たどたどしくて、まだ痛い思いをさせてるだけかもしれないけど、でもねーちゃんの奥底の熱さを感じられるのは僕だけだ。
 嫉妬と優越感が入り混じり、理性とかそんなものは溶けて流れ去りそう。どろどろになるほど柔らかくて激しい、僕のモノへの刺激が快感の堰を切って流れ込んでくる
 ねーちゃんのアソコがかき混ぜられる音と、更紗さんのアソコが舐めまわされる音。僕たちの悲鳴にも似た息遣いがねーちゃんの部屋の中に満ち溢れてく。
 目の裏がちかちかとしてくる。視界が霞がかってきて、よく見えない。再現なしに高まってしまった快感が、出口を求めて暴れてる。
「ねーちゃん、ダメ、イきそう……!」
 このまま出してしまいたいのを何とかこらえて、叫んだ。せめて外に出さないと。そんな僕の手を、ぎゅっとねーちゃんが握り締めてくる。
「中に……大丈夫、だから……!」
「でもっ! くぅっ!」
「お願い……! 最初は、最初だけは……くうっ! もう、あたしもぉ!」
「い、イきそうなのね、鈴歌? 私も、もう……!」
 泣き出しそうに震えたねーちゃんの声と、自分のクリトリスをつまみ上げながら髪を振り乱す更紗さんの声が重なって、僕の脳みそを揺らしてなぶる。
「くあ、もう、だめ……出るっ!」
 熱い塊がモノの中を走り抜けていく、今日はなじみすぎたあの感覚。ねーちゃんの中に、僕の精液が流し込まれていく。
「ひぅ、ああっ! 出てる、絃斗の、出てるぅぅぅっ!」
「ああ、もうだめぇ、私も、イっちゃう……っ!」
 そしてねーちゃんの悲鳴が聞こえて、更紗さんが体を震わせて反り返るのが見えた。
 ああ、二人とも、イったんだ。
 一緒にイったと言う事がなんだか嬉しくて、恥ずかしい。
 でもそんな事より、僕自身の体力がもう限界だった。
「ごめん、ねーちゃん……」
「ふぁ……あ、あや、と?」
「絃斗……くん?」
 荒い息に混じった、僕を呼ぶ声にももう応える事ができない。
「もうダメ……疲れ、た……」
 そのままねーちゃんの背中に覆いかぶさるようにして、疲労困憊の僕の意識は闇に転がり落ちていった。








 目が覚めると、部屋の中はずいぶんと薄暗くなってた。全身がぐったりとしていて力が入らない。ねーちゃんに無理やり体験入部させられた陸上部で、アホみたいに走らされたときも今みたいに疲れて死にかけたっけ。
 頭も重いので、目だけで見回してみた。カーテンも本棚もインテリアも、僕の部屋のものじゃない。やっぱり僕はねーちゃんの部屋で眠り込んでいたらしい。
 布団はちゃんとかけられてた。でも妙にスースーするのは気のせいだろうか。そう思って少し布団をめくり上げて覗いてみる。
「……うわあ」
 服着てなかった。
 なんか汗とかそういうので湿っぽかった。
 なにより、隣でねーちゃんが横になってた。裸で。
「……やっぱり、夢じゃなかったんだ」
「ん……おきたの、絃斗?」
 思わず呟いた僕の声に、ねーちゃんが反応した。背中を向けてたから寝てたと思ったら、起きてたらしい。
「うん、その……おはよう、でいいのかな」
「何でもいいわよ、この際……もう」
 消え入りそうな声で背中を向けたまま、ねーちゃんが呟く。多分同じ事を思ってるんだろう。
 夢でもなんでもなくて、僕とねーちゃんはセックスしてしまったのだ。姉弟なのに。それも、ねーちゃんだけじゃなくて、更紗さんまで……
「……あれ、更紗さんは?」
 部屋にいる気配はない。ねーちゃんのベッドは当然シングルサイズなのだから、ねーちゃんのさらに向こう側で寝てるというのも考えられない。
「絃斗が眠りこけてる間に帰ったわよ。用事を思い出したって。本当、だらしないんだからあんたってば」
「……いやそれ僕が怒られる所なの?」
 だらしないと言われたって。僕は初めてだったのに。
 それがあんなにとんでもない事になって、アフターケアまで求められたって無理だよねーちゃん、って。
「ねーちゃん、その……大丈夫?」
「……正直まだ痛いわよ」
 やっぱり背中を向けたまま、ねーちゃんは呟く。そこに額を押し当てて、僕は言った。
「ごめん。何ていうか、上手く言えないけど。歯止め利かなくて」
 あの時、この部屋の中は本当に熱に浮かされたような状態だったと思う。みんなタガが外れて、ものすごい恥ずかしい事を平然としてたような。
 冷静に考えると、ねーちゃんとこうして裸で一緒のベッドに入っているという事がそもそもおかしいわけで。思い返せば思い返すほど、恥ずかしさと申し訳なさで胸が一杯になっちゃう感じだった。
「だから、ねーちゃん今は怒ってるかもしれないけど」
「……絃斗」
 僕の声を遮って、ねーちゃんが名前を呼んだ。
 そのままくるりと転がって、ねーちゃんがこちらに向き直る。下は布団に隠れたままだけど、胸がそれにつられて震えて弾むのが薄暗い部屋の中でもはっきり見えてしまう。でもそんなのをまるで気にしないで、ねーちゃんは僕に向かって手を伸ばしてきた。
「嫌だったの?」
「え?」
 低血圧だといっていた、ねーちゃんのひんやりした手が僕の頬をなぞり上げる。顔がまだ赤くて熱くて、より冷たく感じたのかもしれない。
「あんた、あたしとしたの嫌だった?」
「そ、そんな事はないよ!」
 淡々と、何かをこらえるように言うねーちゃんに向かって、僕は叫んだ。自分でもびっくりするくらい大きな声だったから、ねーちゃんも目を丸くしてこっちを見つめてる。
「実のねーちゃんだとかそういうこと関係なく、ぼく、ねーちゃんと、その、セックスできて嬉しかったから! ねーちゃんの可愛いところ沢山見れてとても嬉しかったか……あっ!?」
 最後まで言い切ることができなかった。頬にかけられた手が首筋に回るとぐいっと引き寄せられて、僕の唇にねーちゃんの唇が重なる。
「ん……」
 小さく息を漏らして、ねーちゃんの唇が離れた。
「あたしはね、ずっとあんたが欲しかったの」
「ねーちゃん、でも、更紗さんは……?」
「更紗とは確かに、その、いろいろしてたし、好きだよ? でもね、男はあんた以外考えられなかったから」
 ねーちゃんの手が背中に回ってきた。少しだけあいていた僕らの間の空間が、それでゼロになった。
「もうずっと昔から、あたしはあんたの事、男としてみてたんだと思う」
 なんか。
 なんか、とんでもない事を改めて言われてしまった。
「もちろん、急にこんな事言われたってあんたは混乱するだけだと思うけど、その……ね」
 前から僕の事をそう思ってたって事は、つまりはねーちゃんは実の弟を弟以外の目で見ていたという訳で。
「あんたにいきなりあたしをそういう目で見ろ何て言わないから、その……ちょっと、絃斗?」
 あまつさえ、ねーちゃんは更紗さんともアアイウ事をしていたわけで。もし僕が今日あの時部屋に行かなければ、ねーちゃんがそういう趣味だって事はずっと分からなかったんだよなぁ。
「……ねーちゃんてば、ド変態だったんだ」
 思わずそう呟いたら、ノータイムで思いっきりヘッドバットされた。
 痛い。ものすごく痛い。涙出るほど痛い。どのくらい痛いって、した側のねーちゃんが頭抱えて呻いてるくらい痛い。
「っつー……絃斗! あんたどれだけ石頭なのよ!?」
「あげくなんで僕が怒られるのさっ!? ヘッドバットなんてする方が悪いんじゃないか!」
「あんたがデリカシーのかけらもない事言うから悪いのよ! 何よ、自分の事棚に上げて人を変態呼ばわりってひどくないっ!?」
「ど、どう考えてもそうじゃないか! そりゃ確かに僕もねーちゃんとしちゃったけどさ、前からねーちゃんをそんな目で見てた事なんてないよっ!」
「あんたついさっききっぱり言ったじゃないの! ねーちゃんとセックスできて嬉しかったって! 嘘だったの!? 一度食えれば満足でポイ捨て!? 釣った魚に餌なんかやらない派!?」
「それとこれとは話が別って言うか、そもそもねーちゃん更紗さんとしてたじゃないか! ねーちゃんも更紗さんも女だよ!? それであんな事してる上に、僕の事が前から好きだったとか、何をどう聞いてもきっぱり変態じゃないか!」
「それはそれこれはこれじゃない! なによ、大体あんなにだらしない顔して腰振ってたり、いきなりあたしのおま……その、アソコ舐め始めたりっ! あんたも立派に変態よっ!」
「ねーちゃんだって更紗さん相手にあんなに甘えてだらしなくなってたじゃないか! 大体僕と更紗さん相手で態度変わりすぎだろ! なんだよあんなのねーちゃんじゃないよっ!」
「仕方ないじゃない! あたしはそもそも彼女に引き込まれた方だし、その、更紗上手いんだから……!」
 いつの間にかねーちゃんが馬乗りになって、フーフーと荒い息を突いて僕を見下ろしてる。お互い真っ裸なので、下から見上げると顔がおっぱいに隠れそうになるって言うすさまじいアングルなんだけど、さすがに今日はもうそれで興奮するには疲れすぎてた。
「……てか、起きてたんなら服着ようよねーちゃん」
「今更でしょ。もうお互い散々恥ずかしい姿見られたんだから」
「そうだけどさ。でもやっぱりこれは姉弟が向かい合う格好じゃないよ……」
 至極全うな意見だったと思うのだけど、なぜかねーちゃんの表情が変わった。
 更紗さんが良く浮かべてたような、あの悪戯っぽい不吉な微笑み。
「ふふぅん? つまりはそれって、姉弟の関係じゃなければあんたも問題ないって事よね?」
「いや待ってねーちゃん」
「大体、更紗との事でそれだけ言うってのは、嫉妬してるって事? おかしいわね。姉の恋愛なんか弟には関係ない筈でしょう?」
「明らかに妖しい方向に突っ走ってれば弟だって一言くらい言うって! ほら、今日の事は、その、きっと夢みたいな物だったんだよ多分!」
 何かこう、一発で主導権とかそういうもの全部持ってかれた気がする。僕の言ってる事は間違ってない筈なんだけど、多分もうねーちゃん聞く耳持たない。
「ふぅん。夢ねぇ? 絃斗はそういう事にしたいわけなんだ? あたしの初めてもらっておいて?」
「それは、その、そういうわけじゃ……」
「まあ、絃斗の初めてとの引き換えだし? とりあえずはそういう事でもいいけど」
 ねーちゃんが顔を寄せてくる。おっぱいがぷるんぷるんと揺れる。逃れたくても逃げ場がない。
 何より、心のどこかで逃れたくないなんて思ってしまってる僕もいるのが大問題だった。
「夢なら夢でもう少し楽しませてもらっちゃおうかしら」
「いやちょっとっ!? 楽しむって何をっ!?」
 鼻先が触れ合う。ねーちゃんの息が熱い。
「やっと痛みも引いてきたから。だから今度はもう少し、絃斗をゆっくり感じられるかなって」
「いやもう無理! 本当無理! 立て続けに五回目とか限界超えてるからーっ!」
 純粋に命の危機を感じて、叫んだその瞬間だった。
 がちゃがちゃと、玄関のドアノブをいじる音が聞こえてきた。
「……え?」
「あれ、ひょっとして……?」

『ただいまー』
『鈴歌ー、絃斗ー、いるの? いるんなら電気くらいつけて……』

「ちょ、ちょちょちょちょっとーっ!?」
「とーちゃんとかーちゃん帰って来たーっ!?」



 ……バレなかったのは奇跡だと思う。
 思うけど、やっぱりねーちゃんは横暴だ。
 いくら九月でも、裸でベランダほっぽり出されるのは寒かったよ……





【おしまい】



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